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特定商取引法の住所としてバーチャルオフィスも表記可能になりました

個人事業主が住所表記をしたくないという悩みをよく聞きます。自宅以外の活動拠点があれば、そこを表記することができますので、シェアオフィス等を借りることも一つの手段です。また、バーチャルオフィスはこれまでは住所として表記できないとされていましたが、平成30年6月発行の特定商取引法の逐条解説において解釈が変更され、「現に活動している住所といえる限り」表記できるようになりました。

個人情報を知られたくない

消費者を対象に事業をしているのに、事業者自身の個人情報を出したくないというのは矛盾する話ですね。

消費者と事業者の立場の違いを理解していない証拠です。

しかし、自宅の住所や電話番号を出したくないという気持ちも分かります。

法律上は省略表示が可能ですが、現実的ではありません(いかにも抜け道的な解説をしている方もおられますが、法律を正しく理解していない場合がほとんどです)。

住所

電話番号

名前

逐条解説より引用

「氏名又は名称」については、個人事業者の場合は戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号を、法人にあっては、登記簿上の名称を記載することを要し、通称や屋号、サイト名は認められない。「住所」については、法人にあっては、現に活動している住所(通常は登記簿上の住所と同じと思われる)を、個人事業者にあっては、現に活動している住所をそれぞれ正確に記述する必要がある。いわゆるレンタルオフィスやバーチャルオフィスであっても、現に活動している住所といえる限り、法の要請を満たすと考えられる。
また、「電話番号」については、確実に連絡が取れる番号を記載することを要する。発信専用の番号で消費者側から架電しても一切つながらない等のような場合は、確実に連絡が取れる番号とはいえない。

(引用)
消費者庁・特定商取引法ガイド
http://www.no-trouble.go.jp/law/h28.html
特定商取引に関する法律・解説(平成28年版)《2018年6月29日発行》
特定商取引に関する法律の解説(逐条解説)
第2章 訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売
第3節 通信販売
http://www.no-trouble.go.jp/pdf/20180625ac04.pdf
83ページ参照

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参考

バーチャルオフィスの特定商取引法の表記への利用はバーチャルオフィスの事業者が消費者庁に問い合わせた文書が公開されています。
※バーチャルオフィス NAWABARI(http://nawabari.net/safety.html)※追記で情報更新されています

特定商取引法の住所を省略表記するという形にして、問い合わせ先としてバーチャルオフィスの住所を表記し、消費者が実際の住所をを知りたい場合はその連絡先へ問い合わせれば回答があるという内容です。新しい解釈ではなく、従来からの法律解釈でした。

今回の逐条解説ではバーチャルかどうかという形式的なことにはとらわれず、実態として、その住所で活動しているかどうかということが判断基準になります。

何が活動かなと考えると、お客様からの郵便を受け付ける住所であるというのも1つの活動ではないかなあと思います。

投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野