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新たな食品表示制度に対応するための社内研修会 【西日本高速道路サービス・ホールディングス株式会社(関西支社)】(2019年6月25日)報告

【研修の目的】新しい食品表示制度の完全施行は2020年4月1日

西日本高速道路サービス・ホールディングス株式会社は高速道路のサービスエリアやパーキングエリアを管理しています。サービスエリアでは、テナントが入居しており、レストランなどの飲食店のほか、お土産などの物販も行われています。

食品関係でいうと、レストランのメニュー表示では「景品表示法」による規制を受けており、また、食品関連のお土産品では食品表示ラベル=食品表示法による規制を受けています。

コンプライアンスとお客様への安全安心の提供を重視する会社の方針により、2018年10月に「飲食店メニュー・物販の表示違反対策研修~景品表示法・食品表示法について~」の4時間の研修をテナント責任者および同社社員に実施しました。研修では、不当表示となる優良誤認表示などを実際の行政処分を受けた事例などを紹介し、レストランメニューの表示が不当表示とならないような知識と実務をお伝えしました。

また、規制強化された改正景品表示法による表示の管理体制の構築の義務化について、7つの措置を解説しながら、それぞれの措置を遵守するためのブランド食材の確認方法や情報確認管理方法などについて具体的な対策をお伝えしました。

最後に、食品表示法改正について概要をお伝えしました。

今回の研修では、完全施行まで1年を切った中、テナントで販売する食品が表示違反の状態にならないように、新旧の食品表示の見分け方など、新しい食品表示制度を理解するため、また、テナントに対して、アドバイスや指導ができるようにするため、テナントを管理する立場の同社社員向けに研修を行いました。

さらに、サービスエリアに出店している露店や自動車などの許認可や施設基準・衛生管理について、保健所の食品衛生関係の業務の全体像についても紹介しました。

この記事では今回の研修の概要を報告します。なお、企業研修につき項目を列挙する程度の公開範囲ですが、同じようにテナントを管理している事業者の参考になれば幸いです。同様の研修を希望される企業で具体的な内容について興味がある場合は個別にご相談ください。

【研修の概要】新たな食品表示制度に対応するための社内研修会

研修内容

1. 食品行政について(9:30~12:00)
・保健所の仕事
・最近の法律改正(HACCP、営業届出制度の創設)
・許認可、届出、施設基準、衛生管理
・食中毒等の基礎知識
・食品事故発生時の行政対応・消費者対応・マスコミ対応

2. 食品表示法(13:00~16:00)
・新たな食品表示制度(2020年4月1日完全施行)
・原料原産地表示の義務化(2022年4月1日完全施行)
・遺伝子組換え表示の義務化(2023年4月1日施行)
・注意すべき表示(特色のある表示・アレルギー表示等)
・具体的な食品ラベルを題材にしたディスカッション

3. 景品表示法(16:00~17:00)
・景品表示法の概要
・現場での実務に関する具体的な対応(表示の根拠となる情報の確認)

1.食品行政について

①保健所の仕事

保健所というのは食品事業者にとっては怖い印象を持っているかもしれませんが、実は、消費者の安全・安心を確保するために、事業者をサポートしているという考え方が原則にあるということを、私が実際に保健所で経験してきた具体的な業務を通じて紹介しました。

保健所では、「食品衛生」のほか、理美容、公衆浴場、旅館ホテル等に係る「環境衛生」、犬の登録や動物取扱施設の届出などの「動物衛生」などの業務をしています。

②最近の法律改正(HACCP、営業届出制度の創設)

食品衛生法が15年ぶりに大改正(平成30年6月13日公布)されました。この中でも、特に「HACCPの制度化」と「営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設」について関係すると思われるのでピックアップして、解説しました。今後、実際に施行されたときに、何らかの対応が必要になってきます。

  1. 広域的な食中毒事案への対策強化
  2. HACCPの制度化
  3. 特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集
  4. 国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
  5. 営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
  6. 食品リコール情報の報告制度の設立
  7. その他

③許認可、届出、施設基準、衛生管理

サービスエリアでは、露店や自動車でのイベント出店があります。露店や自動車での施設基準は固定施設とは異なっている部分がありますが、衛生管理に問題が生じないようにしなければなりません。

具体的な大阪府などの施設基準や法令違反事例などを解説しました。

施設基準は都道府県が条例で定めることになっていますが、露店や自動車などは、設備によって区分けしていたり、自治体によって微妙に違っているところもあります。

④食中毒等の基礎知識

  • 食中毒をはじめとした身体異常とよばれる苦情は事業者にとって対応が難しいです。
  • 消費者が思っている食中毒と、実際の食中毒は少し異なっているからです。
  • 適切な対応のためには、食中毒に関する基礎的な知識が必要です。

【参考資料】大阪府ホームページ
ホーム > くらし・住まい・まちづくり > くらし > 食中毒等に関すること
☆リーフレット・・・・食中毒を防ぐには(食品衛生講習会テキスト)<別冊> [PDFファイル/1.19MB]

http://www.pref.osaka.lg.jp/shokuhin/shokutyuudoku/

⑤食品事故発生時の行政対応・消費者対応・マスコミ対応

  • 【食品事故発生時の行政対応】
  • 【消費者対応】賠償保険への加入(食品営業賠償共済・PL保険)
  • 【マスコミ対応のポイント】

実際に経験した食中毒事件について、医療機関から電話を受けてから、現場調査に行って、原因調査をして、などの一連の行政の措置内容を、実際に経験した事例をもとに紹介しました。

経済的・社会的損失に備える

食中毒事件を起こすと消費者への賠償が必要になります。保健所は民事不介入です。賠償に備えた保険に加入することが重要です。実際に、事件を起こすとどれぐらいの費用が必要なのかを試算しました。

2.食品表示法

表示全般を管理するための知識として必要な2つのポイント

  • 「食品表示制度の改正」
  • 「従来からの食品表示のルール」(特色のある原材料等の表示、アレルギー表示等)

求められるスキル

  • 新旧の表示を判断できるスキル
  • どのように修正すべきかを指摘できるスキル

知っておくべき範囲

  • 優先度の高い業務上知っておくべき表示
  • 優先度は高くはないが知識として知っておく表示

【確認】「食品表示法」と「景品表示法」の違い(表示の規制には大きく2種類ある)

不当な表示を禁止する規制
⇒景品表示法…表示から受ける一般消費者の印象・認識を基準
※主な管轄が「消費生活センター」

一定の事項の表示を義務付ける規制
⇒食品表示法…明確な判断基準がある(食品表示基準)
※主な管轄が「保健所」

食品表示法の対象について考える

容器包装に入れられた加工食品

店内調理の量り売り等の表示

食品表示制度の3段階の大きな改正

①新たな食品表示制度(2020年4月1日完全施行)
②原料原産地表示の義務化(2022年4月1日完全施行)
③遺伝子組換え表示の義務化(2023年4月1日施行)

①新たな食品表示制度(2020年4月1日完全施行)

主な変更点(消費者庁の説明会資料より)
1. 加工食品と生鮮食品の区分の統一
2. 製造所固有記号の使用に係るルールの改善
3. アレルギー表示に係るルールの改善
4. 栄養成分表示の義務化
5. 栄養強調表示に係るルールの改善
6. 栄養機能食品に係るルールの変更
7. 原材料名表示等に係るルールの変更
8. 販売の用に供する添加物の表示に係るルールの改善
9. 通知等に規定されている表示ルールの一部を基準に規定
10. 表示レイアウトの改善
11. 経過措置期間

新旧表示の見分け方のポイント

①製造所が表示されているか
②固有記号の場合、「+」がついているか
③原材料と添加物が区分されているか
④栄養成分表示があるか

②原料原産地表示の義務化(2022年4月1日完全施行)

  • 平成29年9月1日施行・猶予期間中
  • 国内で製造又は加工された全ての加工食品(輸入品を除く)が対象。
  • 原則として製品に占める重量割合上位1位の原材料が対象。

③遺伝子組換え表示の義務化(2023年4月1日施行)

  • 平成31年4月25日制定されたが、すぐの施行ではない
  • 原稿は「義務表示」と「任意表示」の制度⇒義務表示は変わらず、任意表示が変更

(変更理由)
現行制度では、「混入がないもの」と「ぎりぎり5%の混入のもの」が同じ「遺伝子組換えでない」と表示できるが適切ではない

④注意すべき表示(特色のある表示・アレルギー表示等)

原材料の特色について特別に強調された表示による消費者の誤認を防止する

◆ 特色のある原材料
① 特定の原産地のもの
② 有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品
③ 非遺伝子組換えのもの等
④ 特定の製造地のもの
⑤ 特別な栽培方法により生産された農産物
⑥ 品種名等
⑦ 銘柄名、ブランド名、商品名

食物アレルギーによる事故を防止する

対面販売や外食産業に係る事業者によって販売される食品は、特定原材料の表示義務を課すものではないが、品書き、メニュー等を通じ、アレルギー疾患を有する者に対する情報提供を充実させるため、正しい知識・理解に基づく、事業者の規模・業態等に応じた、アレルゲン情報の自主的な情報提供の促進を進めることが望ましい。(食品表示基準に係る通知より引用)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/

⑤具体的な食品ラベルを題材にしたディスカッション

各自持参してもらった表示ラベルと私が持って行った表示ラベルを使って、新旧表示の見分け方、具体的な修正方法、気になる表示などをペアワークでディスカッションしながら確認しました。

3.景品表示法

景品表示法については前回10月の研修で3時間かけて解説したので、その研修に参加できなかった受講者向けに基礎の復習と、その後の現場での課題について情報共有しました。

前回研修の概要

  • 景品表示法(3時間)…景品表示法の基礎知識・表示の管理体制の構築
  • 食品表示法(1時間)…物販商品の表示・法改正に備える

景品表示法とは(景品表示法の基礎知識)

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」

不当景品類について

「懸賞」や「おまけ」についての規制
→過大な景品類の提供の禁止

不当表示について

①優良誤認
②有利誤認
③「おとり広告」など6指定表示

◇優良誤認表示には「不実証広告規制」
⇒その表示の裏づけとなる根拠を示す資料を15日以内に提出

措置命令の具体的な内容を解説

  1. 違反したことを一般消費者に周知徹底すること
  2. 再発防止策を講じて、役員及び従業員に周知徹底すること
  3. 今後、同様の表示を行わないこと
  4. 1・2について速やかに文書を持って消費者庁長官へ報告すること

措置命令を受けると、新聞社告で膨大な費用支出が必要であり、また、事後の対策にも大きな手間暇が必要です。

★『再発防止策を講じて、役員及び従業員に周知徹底すること』←これが研修等の必要性であり、表示の管理措置の1つめの「景品表示法の考え方の周知・啓発」に該当します。

課徴金制度

  • 対象は「優良誤認」「有利誤認」
  • 対象商品・役務の売上額の3%の課徴金
  • 課徴金額が150万円未満は対象外 ⇒ 売上額5,000万円以上が対象
  • 違反を自己申告した場合の課徴金は半額、自主返金(所定の手続き)で減免

【最重要ポイント】事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針

  1. 景品表示法の考え方の周知・啓発
  2. 法令遵守の方針等の明確化
  3. 表示等に関する情報の確認
  4. 表示等に関する情報の共有
  5. 表示等を管理するための担当者等を定めること
  6. 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
  7. 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

これらの7つの措置を講じることが、改正景品表示法で義務付けられたものであり、表示違反対策のポイントなります。

特に「3.表示等に関する情報の確認」として、ブランド食材の情報確認について再確認しました

ブランド食材の情報確認(メニュー表示で具体的に注意するべきポイント)

牛トレーサビリティ制度(農林水産省HP

米トレーサビリティ制度(農林水産省HP

まとめ

【参考】前回の研修レポート

今回の研修の概要を報告しましたが、同じようなテナントを管理している事業者として景品表示法や食品表示法の研修に興味がある場合は個別にご相談ください。お問い合わせフォームはこちらです。電話(078-201-41387)による問い合わせで不在の場合は折り返し電話させていただきます。