一般社団法人はりまコーチング協会(研修講師・消費者法務・食品・WEBの専門家) https://harima-coaching.or.jp

事業者における異物混入対策について【関西ビジネスウィーク2018】(2018年5月16日)

関西ビジネスウィーク2018が5/15~5/17まで開催されましたが、食品衛生行政の現場からかなり離れてしまったので、最新の情報を知るために大阪市の食品衛生監視員による「事業者における異物混入対策について」とHACCP支援事業者による「HACCP認証取得」の2つのセミナーに参加しました。

そのうちの「事業者における異物混入対策について」、配布資料はなかったので、メモと関連資料をまとめました。

食品中の異物とは

新訂早わかり食品衛生法: 食品衛生法逐条解説より

第6条の意義
各号の意義
(4)第4号関係
③「異物」とは、本来飲食の用に供されるものとして認識されていないものであって、当該物質を摂取することにより、主として物理的な作用によって健康上の危害を生じさせる可能性のあるものであると解される。もっとも端的な例としては、ガラスやくぎ、石などが混入した場合があげられるが、もちろん、これらの場合に限られない。

食品衛生法

第六条 次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の者に授与する販売以外の場合を含む。以下同じ。)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。
一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。
二 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
三 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。
四 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。

近年の異物混入事例の特徴

異物混入に対する行政の動き

厚生労働省

ホーム> 報道・広報> 報道発表資料> 2015年1月> 食品への異物の混入防止のための監視指導の徹底について地方自治体に通知しました
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000070788.html

「食品への異物の混入防止について」(平成27年1月9日付け食安監発0109第1号)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/20150109_1.pdf

食品への異物の混入防止について

標記については、食品衛生法第50 条第2項に基づき都道府県等が営業施設の衛生管理上講ずべき措置を条例で定める場合の技術的助言として示している「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」(平成16 年2月27日付け食安発第0227012 号別添 最終改正:平成26 年10 月14 日付け食安発1014第1号)において、原材料及び製品への異物の混入防止のための措置を講ずること等を通知しているところです。
今般、食品への異物混入事案が相次いでいることも踏まえ、食品衛生関係法令等に基づき、食品等事業者において異物の混入防止のための取組が徹底され、食品の安全性が確保されるよう、特に下記の事項に留意し、食品等事業者に対する監視指導の徹底をお願いします。

1.食品等事業者における異物の混入防止のための取組が徹底されるよう、指導すること。特に次の事項に留意すること。
(1)食品取扱設備等の衛生管理に当たっては、分解や組立てを適切に行うとともに、故障又は破損があるときは、速やかに補修し、常に適正に使用できるよう整備しておくこと。
(2)施設及びその周囲は、維持管理を適切に行うことにより、常に良好な衛生状態を保ち、そ族及び昆虫の繁殖場所を排除するとともに、窓、ドア、吸排気口の網戸、トラップ、排水溝の蓋等の設置により、そ族、昆虫の施設内への侵入を防止すること。
(3)食品取扱者は、衛生的な作業着、帽子、マスクを着用し、作業場内では専用の履物を用いるとともに、指輪等の装飾品、腕時計、ヘアピン、安全ピン等、食品製造等に不要なものを食品取扱施設内に持ち込まないこと。
(4)洗浄剤、消毒剤その他化学物質については、使用、保管等の取扱いに十分注意するとともに、必要に応じ容器に内容物の名称を表示する等食品への混入を防止すること。
2.食品等事業者において、食品等の製造、加工及び調理等が衛生的に行われるよう、食品取扱者及び関係者に対し、食品等の衛生的な取扱方法、食品等の汚染防止の方法等食品衛生上必要な事項に関する衛生教育を適切に実施するよう指導すること。
3.食品等事業者において、食品等の製造又は加工にあたっては、異物混入の可能性について点検を行い、原材料及び製品への異物の混入防止のための必要な措置を講ずるよう指導すること。
4.保健所の助言及び指導の下、迅速かつ効果的な原因究明を実施し、食品衛生上の被害拡大防止対策を速やかに講ずるため、消費者等からの食品等に係る苦情であって、健康被害につながるおそれが否定できないものを受けた場合は、保健所等へ速やかに報告するよう指導を徹底すること。

国民生活センター

トップページ > 注目情報 > 発表情報 > 食品の異物混入に関する相談の概要[2015年1月26日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20150126_1.html

2014年度受付分について
最近の傾向をみるために、ここでは2014年度受付分(2015年1月10日までの登録分)について、まとめています。

危害情報の割合は「食料品」では約14%、「外食・食事宅配」は、危害が発生した場合に相談に至ることが多いためか、約40%となっています。
食料品では、総菜などの「他の調理食品」、「弁当」が104件ずつで最多。「外食」は175件です。
虫など(ゴキブリやハエなど)の混入が最多(345件)、金属片などが次に多くなっています(253件)。
「食料品」では、ほとんどの食品で虫、金属片などの割合が高いが、一方「外食・食事宅配」では毛髪や体毛など人の身体に係るものの割合が高くなっています。
相談の内容別にみると、「品質・機能、役務品質」や「安全・衛生」に関する相談のほか、「接客対応」に関する相談が多く、特に「外食・食事宅配」で割合が高くなっています。

[報告書本文] 食品の異物混入に関する相談の概要[PDF形式](510KB)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20150126_1.pdf

(3)虫など(ゴキブリやハエなど)の混入が最多(345件)、金属片などが次に多い(253件)
食品の異物混入に関する相談(1,852件)について、異物の内容別でみると、ゴキブリやハエなど「虫など」が最多で345件、次いでカッターや針金などの「金属片など」が253件、さらに毛髪や体毛などの「人の身体に係るもの」が202件と続きます。
また、「針金、釣り針など」(93件)、「ガラス、陶器片(皿のかけら含む)など」(41件)や「カッター、刃物など」(5件)など口に入ると危険と思われるものが混入していたという相談も寄せられています(表3)。

大阪市の指導状況

件数

異物混入事例での相談対応

「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」(平成16 年2月27日付け食安発第0227012 号別添 最終改正:平成26 年10 月14 日付け食安発1014第1号)

ホーム> 政策について> 分野別の政策一覧> 健康・医療> 食品> HACCP(ハサップ)> 食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082847.html

2014年10月14日掲載 PDF 【最終改正】食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン) [500KB]
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000082846.pdf

改正の経緯

今般発生した冷凍食品への農薬混入事案を踏まえ、保健所等が食品衛生上の苦情内容を早期に探知し、食品等事業者と共に被害拡大防止対策を速やかに講じる必要があることから、指針について別紙のとおり改正し、食品等事業者が消費者等からの食品等に関する苦情について保健所等に速やかに報告する旨を規定することとしました。

異物混入に対する具体的な取り組みについて事例紹介

  1. 設備の衛生管理
    パンに合成樹脂シートの混入、クッキーに金属片(金属探知機)、惣菜にビニール片(ゴミ箱が近かった)
  2. 施設の衛生管理
    ゼリーに蚊、チョコレートに蛾の幼虫
  3. 従業員の衛生管理
    寒天菓子に毛髪、・・・開封済みだが、毛髪がめり込んでいた
  4. 使用薬剤の管理
    かき氷のシロップ・・・洗剤が混入

投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野