一般社団法人はりまコーチング協会(研修講師・消費者法務・食品・WEBの専門家) https://harima-coaching.or.jp

【消費者法務通信】「利用規約(約款)のルールが明確化されます」(2018年9月8日号)

消費者法務コンサルタントの赤松です。

◆私はWEB関係のカスタマーサポートの担当者の交流会に毎月参加しているのですが、同じテーブルのメンバーで「なかなか苦労した苦情対応」について盛り上がりました。
その中のある事例では、最終的に解約に応じたのですが、「利用規約」の取り扱いについて問題になりました。
◆実は、民法の債権(契約関係のこと)についてのルールが120年ぶりに大きく改正され、平成32(2020年)4月1日に施行されることになっています。
その改正項目の中に、「約款」について新たに規定されることになりました。

◆約款といえば、保険を契約したときに渡されるぶっとい冊子だったり、契約書の裏などに細かい字で書いてあったり、旅行契約や鉄道などにもありますよね。
◆約款は不特定多数の者に画一的に提供されるもので、「利用規約」も約款のうちに含まれます。いちいち個別の契約書に書くのではなく、あらかじめ約款としてまとめてたほうが合理的な面もあります。

◆約款については、これまで法律上の明確な規定がなかったため、約款の内容が契約内容といえるのかということでトラブルになっていました。実際は約款や利用規約をすべて読んでいるわけではないですから。消費生活センターでも「利用規約に書いてたら仕方がないよね」という対応になることも。

◇改正民法では、約款を「定型約款」と定義づけて、約款に合意していれば契約の内容になるということが定められました。つまり、利用規約や契約書で「約款に合意する」という欄にチェックをしていた場合は約款を読んでなかったとしても契約内容として縛られるということです。
◇ただし、約款の内容が不当なものである場合は、その条項は無効であるとされています。ここが画期的なことだと思います。消費者契約については不当な契約条項は消費者契約法で無効を主張できますが、事業者間契約については対象外でしたので、個別に民法で争う必要がありました。個別に争ったとしても、「事業者はプロ、一度契約したらやめることはできない」という基本原則があります。それが、今回の改正で覆せる可能性があるということですね。もちろん、不当かどうかは法的な争いが必要です。

◆先日、知人から70万円のサービスの事業者間契約の相談があり、利用規約を読んでみると、「契約成立後は撤回できない。ただし、契約成立後3営業日以内であれば20%のキャンセル料で解約できる。」との記載がありました。解約は難しく契約履行することになりました。どこまでサービスが開始されているかにもよりますが、改正民法施行後は不当条項を主張してみる価値はあるのではと思ったりします。
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★実務的には、WEBでの申し込み画面に「利用規約に同意する」というチェックボタンなどが必要になります。利用規約やキャンセルポリシーなどが違う画面にあれば無効を主張されることになるかもしれないということですね。
みなさまも、提供側の視点・購入側の視点ともに、利用規約や約款について意識していただけたらと思います。
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消費者法務コンサルタント 赤松 靖生
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投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野