一般社団法人はりまコーチング協会(研修講師・消費者法務・食品・WEBの専門家) https://harima-coaching.or.jp

【消費者法務通信】遺伝子組換え食品「新たな遺伝子組換え表示制度に関する消費者庁の説明会」に参加しました(2019年6月8日号)

消費者法務コンサルタントの赤松です。

消費者庁が所管する法律が改正されたときには、たいてい消費者庁主催の説明会が開催されます。今回は、日本ではあまり受け入れられていない「遺伝子組換え食品」です。2023年4月1日からの新たな遺伝子組換え表示制度の説明会があり、参加してきましたので、ポイントを紹介します。』

関係のある事業者はきちんと確認しておかなければならないと思います。一方、関係のない事業者は、一人の消費者として新しい制度に興味を持っていただけたらと思います。

今回の説明会の配布資料については消費者庁の6/4に消費者庁のホームページで公表されていますので参考にしてください。

消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 食品表示企画 > 品質等選択に役立つ表示の制度について > 遺伝子組換え表示制度に関する情報
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/genetically_modified/
新たな遺伝子組換え表示制度に関する説明会資料[PDF:5.4MB]

【法改正の基本】

食品表示に関する基準は、食品表示法第4条(食品表示基準の策定等)の中で、内閣総理大臣が内閣府令で食品に関する表示の基準を定めなければならないとなっており、別途「食品表示基準」が内閣府令で定められています。
この食品表示基準は結構頻繁に改正されており、今回は遺伝子組換え表示についての改正となっています。
なお、4/25付の改正ですが、施行は2023年4月1日となっています。
大きな改正の場合は準備期間が必要ということで、これまで同様に施行はかなり先です。といっても、あっという間ですが、今の時点でも表示を変更しても構わないということになっています。

【改正のポイント】

ざっくりまとめると、大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品では、遺伝子組換えのものが、今まで、5%以下の意図しない混入であれば「遺伝子組換えでない」と表示できていたのですが、「ぎりぎり5%の混入のもの」と「混入がない」ものが同じ表示となるのは適切ではないとして、これらを区別して表示しようというものです。

遺伝子組換え表示制度には、「義務表示」と「任意表示」がありますが、今回は「任意表示制度」について改正されました。

<現行制度(変更前)>

分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品
⇒「遺伝子組換えでないものを分別」「遺伝子組換えでない」等の表示が可能

<新制度(変更後)>

①分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品
⇒適切に分別生産流通管理された旨の表示が可能

②分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がないと認められる大豆及びとうもろこし並びにそれらを原材料とする加工食品
⇒「遺伝子組換えでないものを分別」「遺伝子組換えでない」等の表示が可能

具体的な表示例

新制度①の表示例として下記があげられていますが、なじみがないのと長くなりそうなのでパッケージに表示する場合には頭を悩ませるかもしれませんね。

<表示例>
・「原材料に使用しているトウモロコシは、 遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っています」
・「大豆(分別生産流通管理済み)」等

より具体的な表示方法について、「新たな遺伝子組換え表示制度に係る考え方(補足資料)平成31年4月25日 消費者庁 」で説明されていますので抜粋します。

(一括表示事項欄外に表示する場合の例)
「大豆は、遺伝子組換えのものと分けて管理したものを使用しています。」
「原材料に使用しているトウモロコシは、遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っています。」

(一括表示事項欄に表示する場合の例)
「とうもろこし(分別生産流通管理済み)」
「とうもろこし(IP管理品)」
「大豆(遺伝子組換えの混入を防ぐため分別)」等

※説明会や資料を参考に私なりにポイントを書いたものですが、そのほかにも細かいところもありますので、正確を期すために、最終的には消費者庁の資料等でご確認ください。※

これで、新たな食品表示制度の3つの大きな改正である「食品表示基準の制定」「原料原産地表示制度」「遺伝子組換え表示制度」が出そろったことになります。移行期間があるとはいえ早めの準備をしておきましょう。

消費者法務コンサルタント 赤松 靖生
(一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事)
651-0086 神戸市中央区磯上通6-1-17 ウェンブレービル6F
電話・FAX 078-201-4137
E-mail:contact@harima-coaching.or.jp
URL:https://harima-coaching.or.jp

※このメールが誤って送信されていた場合は破棄するとともに連絡いただけたら幸いです。
※メール配信を解除する場合は下記のURLをクリックして解除してください(クリックすると即解除になりますので誤クリックにお気をつけください。クリック後は「はりまコーチング協会」ホームページが表示されます)。
※解除したのにメールが届く場合があります。その場合はお手数ですが「購読解除する旨」の返信をしてください。

投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野