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タカショーの「日よけネット」で景品表示法の不当表示による措置命令(2015/3/5)

エクステリア製品の大手メーカーである「株式会社タカショー」が販売した「シェードネット」、いわゆる日よけネットで、景品表示法の不当表示(優良誤認)が認められたとのことで行政処分(措置命令)が出されました。

日よけネットは、夏場の直射日光を避けるために家の軒先に屋根のように布製の幕を張る製品ですね。安いものから高いものまでいろいろあります。カフェの店先などにテーブルとイスをセットして、日よけネットを張るというシーンも見かけます。私も自宅で購入を検討しましたが、結局、本格的な日よけ屋根を設置し、後は「すだれ」で対応しました。

今回の事例について、処分内容や改善対策などについて解説します

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(画像は消費者庁HPの公表資料より引用)

何が優良誤認なのか

優良誤認表示とは、表示内容が実際のものとは異なっていたために、消費者が誤認(誤って)購入したということです。
※きちんと書くと、「優良誤認とは商品・サービスの品質、規格、その他の内容について、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に示す表示」のこと(消費者庁HPより)

どのようなことが、「優良誤認」になったのかというと、カタログ等の表示では、「日よけネットの内側の部分の気温が約10度低下する」と表示していたことです。

実際には、気温が下がることはなく、内側の表面温度が10度下がるものでした。これが優良誤認に該当したということです。

確かに、気温が10度下がることはないことは冷静に考えたら明白ですよね。体の表面温度が下がるので体感温度も下がって、10度ぐらい涼しく感じるというのが事実でしょう。実際に、メーカーも表面温度を気温と書いてしまったことは誤りであると認めています。

消費者としても、気温が下がるとは思ってないでしょうし、日影になるのだから、10度ぐらい涼しくなるというのは常識的に考えたら分かると思います。

しかし、景品表示法の不当表示を考えると、確かに違反していることになります。

景品表示法は非常に厳しい法律だと感じています。法改正により処分権限が都道府県にまでおりてきましたので、行政処分も増えるのでないかと思います。事業者も心してかからないと、ちょっとしたことで、大きなダメージを受けてしまいます。

措置命令(行政処分)の具体的な内容

  1. 対象商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景
    品表示法に違反するものである旨を一般消費者へ周知徹底すること。
  2.  再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
  3. 今後、同様の表示を行わないこと。
  4. 1および2で採った措置について消費者庁に報告すること。

1年後には課徴金制度が

報道によると、この製品の売り上げは24年2月~26年12月の期間で約1億4千万円になります。

約1年後に施行される課徴金制度(今は猶予期間)を今回の事例に適用させると
性能自体には問題ない
今からどのように対策しておくのか(今回に事例に限らず一般的に)

公表資料

消費者庁HP(http://www.caa.go.jp/

ホーム > 表示対策課
http://www.caa.go.jp/representation/index.html

平成27年 3月 5日
株式会社タカショーに対する景品表示法に基づく措置命令について[PDF:6MB]
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/150305premiums_1.pdf

報道内容(引用)

日本経済新聞WEB版より引用

住宅建材メーカーに措置命令 庭先ネットの宣伝巡り
2015/3/5 21:55

庭先に張って日差しを遮ることで「気温が10度下がる」などと宣伝していたのは、景品表示法違反(優良誤認)にあたるとして、消費者庁は5日、住宅建材メーカーのタカショーに対し、再発防止などを求める措置命令を出した。

消費者庁によると、同社は2012年2月以降、チラシや商品カタログ、ホームページなどで、ポリエチレン製の生地でできた「シェードネット」と呼ばれる製品を庭先やテラスに張れば、「直射日光を遮るほか、通気性もよいので、ネットの下は気温が平均約10度下がる」などとうたっていたという。

12年2月から14年12月までのこの製品の出荷額は約1億4千万円にのぼる。

同庁は、気温は一般的に日射熱を含めずに測定する大気の温度であることや、専門家らの意見を踏まえたうえで、日光を遮ることで気温が下がることはないと判断した。

同社は実験で「ネット内側の表面温度が10度さがった結果を、気温と誤って表示していた」としたうえで、「再発防止に向けて管理体制の強化に努める」などとするコメントを発表した。

(引用)http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG05H6T_V00C15A3CR8000/

そのほかの報道

景品表示法に関する企業研修を受けつけています。お問い合わせください。

投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野