「職域での若者の消費者教育を推進したい消費者行政の課題」と「不祥事を予防しコンプライアンス意識を向上させたい企業の課題」の両方の課題に対応できる研修

【消費者教育推進の視点】社会人(いわゆる職域)、特に若者への消費者教育の効果的な推進
【企業不祥事予防の視点】契約などの法律やSNSなどのネット社会への対応などの消費者教育によるコンプライアンス意識の向上

「(元)消費生活センター行政技術職員としての経験」と「(現)個人経営者として事業者向けに消費者法務をサポートしている経験」からの「消費者・事業者・行政の3つの視点」

  • 毎年4月に実施される明石商工会議所での新入社員研修の1コマで、平成27年度から平成31年度までの5年間、「新入社員コンプライアンス研修」の講師を担当しました
  • 消費者教育と不祥事予防を融合させたコンプライアンス研修という構成で、企業の新入社員である若者の消費者トラブルを防止するための消費者教育の効果だけでなく、消費者教育からつながる企業不祥事の予防に対しても大きな意識付けになるという効果がありました
  • 消費者教育推進法のライフステージに応じた消費者教育の推進における「職域・社会人になりたての若者への消費者教育」への一つのアプローチ方法になります
  • スマートフォンなどのデジタル機器が身近にあり、SNSを使って交流や情報発信をする若者には、社会人として仕事をしていくうえで、企業不祥事を起こさないような情報リテラシー(情報を使いこなす力)や情報セキュリティなどデジタル時代に対応したコンプライアンスが求められます
  • 企業研修で消費者教育を行い、従業員が消費者として消費者トラブルのことをきちんと知ると、消費者とは反対の立場である「事業者」として消費者トラブルを起こさないようにするということにもつながり、消費者トラブル自体が起こらないような仕組みが出来上がります
  • 消費者庁の消費者教育推進会議で、この取り組みについて報告しましたので、その具体的な内容や取り組みについてまとめるとともに、15分という短い報告時間では伝えきれなかったポイントなども付け加えています

法人・講師の紹介(一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事 赤松 靖生)
◆平成26年4月1日一般社団法人設立(神戸市で法人登記)、1人法人(活動拠点は明石市)、事業者向けの消費者法務と食品が専門
◆元行政技術職員22年間の経験を活かした業務(保健所関係10年・消費生活センター11年)
◆商工会議所・企業での研修・セミナー講師、企業・団体・個人経営者への個別支援、消費者法務・食品などの情報発信、消費生活相談員資格試験対策WEB講座

消費者庁の消費者教育推進会議で「商工会議所と連携した新入社員コンプライアンス研修」の取り組みを報告しました(2021/2/24)

消費者庁の消費者教育推進会議(第3期)「第4回社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会(令和3年2月24日 )」において、「明石商工会議所での新入社員コンプライアンス研修」の取り組みを報告させていただきました
※スライド20枚分のPDFファイルは、消費者庁HPから閲覧・ダウンロードできます
https://www.caa.go.jp/policies/council/cepc/meeting_materials_4/

  • 資料については2/24に公開済
  • 議事録については後日公開予定(議事録では、それぞれのスライドで説明したことがすべて文字起こしされています)

【参考】報告で紹介した明石商工会議所での新入社員研修のレポート(平成31年度実施分)

研修で工夫していること

コンプライアンス研修といえば、面白くない、難しい、眠たい、など、特に若者にとっては、あまり積極的に受けたくないようなイメージではないかと思います。そこで、少しでも、興味を持ってもらえるような工夫をしています。

  • 分かりやすいスライドを使って進行する
  • 自分ごととなるような身近な事例を使う
  • 穴埋の確認テストを途中で入れる
  • 実際にニュースとなった不祥事を事例にする
  • 押し付けにならないような伝え方を心がける
  • 単なる「消費者教育」で終わるのではなく、事業者のコンプライアンスの醸成に貢献するようなアプローチをする

【このようなスライドを使っています】

研修の内容を具体的に紹介します

研修の目標は「1.大人の責任を知ろう!」「2.契約トラブルを知ろう!」「3.不祥事は「ひとごと」ではない!」というシンプルな3点

研修の内容・110分(1~6までが消費者教育、7・8がデジタル時代の不祥事・情報セキュリティ)

  1. 20歳になったら何が変わる?・・・法律(民法)上の「未成年者の契約」と「20歳になったときの責任」について
  2. 消費者契約について・・・トラブルの多い取引には法律の規制がかかり消費者は保護されます
  3. 特定商取引法とクーリングオフについて・・・クーリングオフ期間内であれば無条件で解約できます
  4. 具体的なトラブル事例を紹介・・・キャッチセールス、デート商法、マルチ商法など
  5. クレジット契約と借金について
  6. 消費者力を向上させ、自立した消費者へ
  7. 事業者として法律を守る立場に・・・事業者としてのコンプライアンス
  8. 企業不祥事の未然防止・・・SNS等のネット投稿・個人情報の流出
  9. まとめ

2022年4月の民法改正による成年年齢引き下げへの対応として、契約責任・未成年者取消しを含めた契約について伝えます

今は関係ないかもしれないが、将来的に自分自身や同僚・部下などが借金問題に直面したときに、犯罪・着服・横領などの不祥事にまで追い込まれないように、借金解決にはさまざまな方法があることを伝えます

消費者として契約トラブルにあわないようにするという立場から、お客さまへ消費者トラブルを起こさないという事業者の立場としての考え方を意識させることにより、「コンプライアンス(法令遵守)」の意味を理解することができます

学生時代には軽いノリでSNSを利用したりしていたが、社会人になると、個人のちょっとした行為が炎上してしまい、会社にも影響を及ぼすことを伝えることで、会社の看板を背負うという社会人としての企業人としての自覚とコンプライアンスを意識することができます

近年、企業不祥事の大きな原因ともなっているSNSなどのインターネットによる不祥事事例を紹介することで、反面教師として、同じようなことをしてはいけないと意識づけることができます

個人情報の流出や情報漏洩は不注意など意図しないことで起こっている事例が今でも多く存在するとともに、最近ではパソコンの乗っ取りなど情報セキュリティへの脅威を意識する必要があります

研修受講者の感想

20歳になったら大人としての責任を負う

  • 20歳になれば法律でも大人という扱いになるので責任のある行動をしなければならないと思った。
  • 大人の責任について考えるいいきっかけになった。
  • 大人の責任は重大なのでしっかり意識したいと思った
  • 「ひとごと」ではなく、自分の身の回りに起きても不思議ではないことばかりな事案なので気をつけようと感じた。
  • 社会的責任を自覚し、日々生活していきたい
  • 事例などをもとに分かりやすい説明でした。成人・社会人になった身として責任が大きいことを常に考え行動していきたいです。

消費者トラブルへの対応

  • キャッチセールスやマルチ商法などのトラブルに巻き込まれないように、日ごろから気をつけておかなければならないと思った。
  • クーリングオフの大切さがわかりました
  • 契約のトラブル等があった時にクーリングオフという制度の知識があれば、自分がトラブルに巻き込まれたときに有効的に活用できると思った。
  • 身近にある問題についてばかりだったので、わかりやすかった。成人している意識を持って、契約を結ぶ際は十分に気をつけたいと思う。

会社に所属している自覚

  • もう自分が会社の看板を背負っているのだと改めて感じました。
  • 社会人としてまた会社の社員として責任をもった行動をすべきだと自覚することができました。
  • 会社の名前を背負っていることを再度自覚し、うっかりミスがないように心がけたいと思います。
  • 法律のことを知れてよかったです。また、会社に迷惑をかけないために責任ある行動をとろうと思いました。

事業者としての立場

  • コンプライアンスの大切さがよく分かりました
  • 事業者としてのルールをきちんと認識した
  • クーリングオフする立場からクーリングオフされる立場に逆転したという言葉が一番印象に残っています
  • 自分が情報の流出源となる可能性もあるのを理解した。

研修の成果

研修受講によるコンプライアンス意識の向上
・自分自身へのコンプライアンス ・所属してる企業へのコンプライアンス

消費者トラブルは表裏一体のもの
『消費者として、消費者トラブルにあわない』
『事業者として、消費者トラブルを起こさない』
この2つを一緒に伝えることで効果が高まった

神戸新聞からの取材記事(2016年4月9日)

【参考】国立循環器病研究センターでのコンプライアンス研修のレポート(平成28年度)

事業者に対して、どのように消費者教育を導入すればいいのか

企業へは「消費者教育」というアプローチではなく、企業不祥事を予防するための「コンプライアンス研修」というアプローチによる「消費者教育の導入」が効果的です。※企業研修としてのコンプライアンス研修自体がまだまだ普及していないという課題もあります。

  • 「消費者教育」という形式をとってしまうと、「行政等の公的機関が無償で行うオリエンテーション的な講座」という位置付けになってしまいがちです。例えば、大学のオリエンテーションでの消費者教育講座と似ています。企業にとっては、従業員の福利厚生のような意味合いになり、直接的に利益を生み出さない印象で、なかなか積極的な導入がされていないように感じます。
  • 企業不祥事を予防するための「コンプライアンス研修」というアプローチであれば、企業にとっても、近年注目されるコンプライアンス体制の構築として必要な社員教育と位置づけることができます。不祥事予防の視点からだけでなく、お客さまとのトラブルをなくす視点から、有益な研修と位置付けられることにつながります
  • 例えば、企業に対して、「社会人になったばかりの若者の消費者被害を防止するために新入社員の消費者教育をしませんか?」というアプローチをしたときに、企業はどれほど興味を持つでしょうか?
    そして、もし、興味を持って実施するとなれば、福利厚生としての実施でしょうか?、社員教育としての実施でしょうか?、
    また、どれぐらいの時間を割いてくれるでしょうか?
  • 消費者教育が「企業の不祥事予防やお客さまとの取引におけるトラブルの減少」⇒「お客さまからの信頼の獲得」⇒「企業の損失を減らし利益をもたらす」というロジックを理解してもらうことで企業の関心も上がるのではないかと考えています
  • そして、企業研修という位置付けがなされれば、ボランティア講師ではなく、講師ビジネスにつながり、この分野の担い手も増えるのではないかと考えています。

コンプライアスにもさまざまな分野があります

4つの分野のコンプライアンス

コンプライアンスといっても多くの分野がありますが、分かりやすく4つの分野に分類し、これらを組み合わせて、対象や時間等により、研修の内容を構成していくと目的に応じて分かりやすいく整理できます。今回紹介している研修は、このうちの【お客さまへのコンプライアンス】【従業員個人のコンプライアンス】を取り上げています。

  • 【お客さまへのコンプライアンス】…契約トラブル、苦情対応、個人情報の流出
  • 【従業員個人のコンプライアンス】…(プライベート)犯罪行為・悪ふざけ行為・SNS投稿炎上、(従業員として)着服・横領、情報漏洩
  • 【会社経営でのコンプライアンス】…脱税、データ改ざん、ハラスメント、秘密情報の流出
  • 【商品やサービスのコンプライアンス】…表示違反・不当な表示、欠陥製品・基準違反製品

危機管理の視点

危機管理には、危機が発生した場合に迅速な対応をするための「クライシスコミュニケーション」と危機が発生しないように事前に対策をするための「リスクコミュニケーション」の考え方があります

  • 大きな不祥事が発生し、顧客対応・マスコミ対応・法的対応などのほか、社内のコンプライアンス体制の構築など、弁護士などのコンプライアンス専門家のサポートを受けながら企業全体で対応する
    ⇒危機管理でいえば「クライシスコミュニケーション」
  • 大きな不祥事が発生した場合に今後の再発防止のため、関係従業員に周知させるためにコンプライアンス研修を実施する
    ⇒危機管理でいえば「クライシスコミュニケーション」のあとの再発防止策としての「リスクコミュニケーション」
  • 大きな不祥事は発生していないが、今後の不祥事の発生を予防するためにコンプライアンス研修を実施する
    ⇒危機管理でいえば「リスクコミュニケーション」

コンプライアンス研修の紹介

  • 不祥事予防のための研修となっていますので、大きな不祥事が発生した後のコンプライアンス体制の構築等については、コンプライアンス専門の弁護士が適任である場合があるので、研修の目的や対象などメールでは伝わりにくいことについては、直接、お電話ください(不在の時は後ほど連絡します)
  • 講師謝金の目安は、企業研修として、5~10万円(1時間あたり・消費税・交通費・資料代等は別途、※2時間~3時間を目安)、公的機関等の団体で研修予算が定められている場合はご相談ください
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