景品表示法による表示違反を事業者が自ら消費者庁へ報告した「DMM.comの液晶テレビの性能誤記(優良誤認)」の事例(2018年3月29日措置命令、2018年10月19日課徴金納付命令)

通常、景品表示法による表示違反は違反の通報などにより調査に入り、行政処分がなされますが、今回は事業者自らが行政に違反事実を相談して行政処分(措置命令・課徴金納付命令)になった事例です。

DMM.comの液晶テレビの性能誤記(景品表示法の優良誤認)。自主申告のため課徴金が2分の1に減額。

景品表示法の優良誤認による表示違反となった内容

「1秒間に60フレームで構成される映像を1秒間に120フレームで構成される映像にして映し出す機能」があるとしていましたが、実際にはその機能がなかったということで景品表示法の優良誤認にあたるとして措置命令が課されたものです。

【消費者庁の公表資料より引用】

(表示内容)
次のとおり記載することにより、あたかも、本件2商品の各商品が、前後のフレームから中間的なフレームを新たに生成し、映像を補完する倍速駆動と称する技術により、1秒間に60フレームで構成される映像を1秒間に120フレームで構成されるより滑らかな映像にして映し出す機能を具備しているかのように示す表示をしていた。

(実際)
本件2商品の各商品は、1秒間に60フレームで構成される映像を1秒間に120フレームで構成される映像にして映し出す機能を具備していなかった。

本件2商品の各商品の内容について、それぞれ、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである

UPQが製造と販売、DMM.comは販売(製造はUPQ)

この液晶テレビはUPQが製造し、販売もしていました。DMM.comはオリジナルブランドとしてUPQに設計も含めて製造委託していました(OEMではなくODMといいます)。
したがって、両社とも措置命令を受けました。もっとも、DMM.comのほうが売り上げははるかに大きいようです。

実はもともとあった機能が工場との連絡不足により付けられなかったらしい

当初の設計では備え付けられた機能ですが、急遽、生産工場が変更になったことで、仕様がうまく伝えられずに生産されたようです。下記の記事に詳しく解説されています。

UPQによれば、当時の中国工場では4つのHDMIポート(2.0)を備えた製品が珍しく、新工場で出入力インターフェイスと画面の色チューニングにやりとりが必要だったそう。また、日本語化するのも手間どっており、これらのやりとりに注力した結果、120Hz駆動の仕様がすっぽり抜け落ちたと説明しています。
Engadget 日本版から引用:「120Hz倍速は間違え!UPQとDMMが4K 65/50型モニター仕様を誤ったワケ。対応に差、背景に景表法の新ルール【詳報】(更新)」https://japanese.engadget.com/2017/04/25/upq-dmm-4k-120hz/

したがって、もともとの広告では予定通りだったのですが、気づかないまま、結果的に表示違反になってしまいました。どんな事情があるにせよ、表示違反は無過失責任となります。

6か月後に課徴金納付命令が出ました

課徴金は優良誤認表示違反による売り上げの3%となります。ただし、課徴金が150万円未満の場合は対象外となります。つまり、5000万円以上の売り上げということになります。
課徴金納付命令の対象となったのはDMM.comだけでした。つまり、UPQの売り上げは課徴金を課すほどではなかったということでしょう。

消費者庁の公表資料から引用しました

商品 課徴金対象行為をした期間 最後に取引をした日 課徴金対象期間 売上額 課徴金額
「DMM.make 50インチ 4Kディスプレイ」と称する液晶ディスプレイ 平成28 年11 月15 日から平成29 年4月12 日までの間 平成29 年10 月12 日 平成28 年11 月15 日から平成29 年10 月12 日までの間 728,350,537 円 10,920,000 円
「DMM.make 65インチ 4Kディスプレイ」と称する液晶ディスプレイ 平成28 年11 月25 日から平成29 年4月12 日までの間 平成29 年10 月12 日 平成28 年11 月25 日から平成29 年10 月12 日までの間 408,384,689 円 6,120,000 円

約11億円の売り上げがあったのですね。本来ですと課徴金は約3億円ですが、実際はその半分になっています。

違反したときに「課徴金が課されるか」、「課されたなら金額を確定させる」ため、売上金額を正確に把握しておく必要があります。したがって、日常的に毎日の品目別の売り上げを記録しておく必要があります。

自主申告なので課徴金が2分の1を減額

表示違反について行政の調査が入る前に申告していた場合、課徴金が2分の1になるという制度があります。今回は、違反事実について消費者庁に相談したことから行政処分となりましたので、減額となりました。

表示違反の自主申告で、ここまで厳しい行政処分になるのか?

自主申告であれば、公表までも行かない行政指導で済ませてもいいのではという考えもありますが、表示違反が明らかな業者のミスであり、売上金額も大きく、ネット上でも批判を受けてたので、行政処分・公表となったのかもしれません。

小さな事業者での少ない売上高の場合は、表示違反があったとしても、店頭告知やホームページでのお詫びのレベルとなる行政指導で終わるかもしれません。

参考記事

ものがデジタル家電品であるので、IT関連のニュースサイトがさまざまな記事を書いており非常に参考になりますので紹介します。

消費者庁での公表文書

消費者庁ホーム > 政策 > 政策一覧(消費者庁のしごと) > 表示対策 > 景品表示法
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/

平成30年3月29日
株式会社DMM.com及び株式会社UPQに対する景品表示法に基づく措置命令について[PDF:2.2MB]

平成30年10月19日
合同会社DMM.comに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について [PDF:1.2MB]

UPQのホームページでのお知らせ

  • 弊社製ディスプレイのリフレッシュレート表記について消費者庁による調査終了のお知らせ
    2018年10月12日
    https://upq.me/jp/news/20181012/
  • 弊社製ディスプレイのリフレッシュレート表記についてのお詫びとお知らせ
    2018年5月11日
    https://upq.me/jp/news/20180511/
  • UPQディスプレイ製品3機種のリフレッシュレート表記の誤りについてのお詫びとお知らせ
    2017年4月12日
    https://upq.me/jp/news/20170412/
  • 株式会社UPQ製液晶ディスプレイ3機種にかかる、不当景品類及び不当表示防止法第7条第1項に基づく措置命令対応予定につきまして
    2018年3月30日
    https://upq.me/jp/news/20180330/

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