「水揚げされた魚を当日配送(一部は翌日配送)する」と、POPやポスターに表示していたが、実際は、翌日配送(一部は翌々日配送)であった。当初は表示通りであったが、取扱量が増えて自社物流センターを経由することになったが表示はそのままだった。
組織が大きくなって、分業制になると、変更事項の情報が共有されないことがあります。うっかりミスがあったりしても、表示違反は過失の有無を問わない「無過失責任」となっていますので、十分に気を付ける必要があります。

原因と対策

原因

平成27年10月に提供を始め、平成28年3月31日までは表示通りの配送体制だった
⇒ 取扱量が増えて自社の物流倉庫を使い物流体制を変更し、配送が1日遅くなることになったが、広報担当者はそれを知らなかった
とのことです。

当日配送が一番の売りなのに、その体制を変更したことが組織内部で周知されていないことが大きな問題です。この売りが、消費者がこの店舗を利用する大きな要因にもなっているので、そこにウソがあってはいけない。つまり、「実際のものよりも著しく優良なものである」と誤認させたということになります。

景品表示法

(不当な表示の禁止)
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 (以下省略)

組織が大きくなって、分業制になると、変更事項の情報が共有されないことがあります。うっかりミスがあったりしても、表示違反は過失の有無を問わない「無過失責任」となっていますので、十分に気を付ける必要があります。

対策

このような表示違反を引き起こさないために、景品表示法では「表示の管理体制」の構築が義務付けられています。

事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針

  1. 景品表示法の考え方の周知・啓発
  2. 法令遵守の方針等の明確化
  3. 表示等に関する情報の確認
  4. 表示等に関する情報の共有
  5. 表示等を管理するための担当者等を定めること
  6. 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
  7. 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

今回の事例では、景品表示法で義務付けられている7つの管理上の措置がされていなかったために情報共有が適切に行われていませんでした。
消費者庁の措置命令では、この管理体制が構築されているかが調査され、できていない場合は、改善を命令します。

チムニーのホームページで公表されたお詫びの中で、今後の対策として、「表示の管理責任者を選任して適切な表示への取り組みを行う」「外部から支給された広告物も事前確認を行う」「役職員への教育」などが公表されています。

(引用元)チムニー株式会社ホームページ消費者庁の措置命令についてのお詫びとお知らせ(PDF)

3.再発防止策

弊社では、本措置命令を受けることとなりましたことを厳粛に受け止め、消費者の皆様に対して適切な表示を行うため、再発防止に努めてまいります。具体的には、次の施策に取り組んでおります。
(1) 広告物、掲示物等については、社内で制作したものはもちろん、仕入元など外部から支給されたものであったとしても、表示内容の事前確認を必ず行うことを徹底してまいります。
(2) 表示等管理責任者を選任し、その権限と責任を明確化し、適切な表示がなされるための取り組みを実施してまいります。
(3) 役職員に対する、表示に関する知識と取り扱う食材についての知識(物流についての知識を含みます。)の向上のための教育を強化してまいります。

ニュース動画


動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=1ohMKOvYCs8
※動画はYouTubeから埋め込んでいますので広告が入ることがあります※

テレ朝ニュース
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000140276.html

https://www.chimney.co.jp
消費者庁の措置命令についてのお詫びとお知らせ
https://www.chimney.co.jp/ir/pdf/news/20181107.pdf

投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野