WEB制作者が知っておくべき特定商取引法【関西フロントエンドUG】Webデザイン・Web制作に関する勉強会 #4(2019年2月19日)報告

【関西フロントエンドUG】Webデザイン・Web制作に関する勉強会 #4に登壇しました

9/11に登壇させていただいたのですが、思ったよりも反響があったので、今回は、前回お話しした表示に関係する全体像の中から、WEBビジネスには欠かせない通信販売を規制する「特定商取引法」について取り上げました。

スライド資料を作りリハーサルしましたが27分でした。登壇時間が10-30分ということでしたので、範囲内なのですが、当日の登壇者枠もLT枠も満杯なので時間内では消化しきれない可能性もありました。やはり、当日に30分と申し出たら20分にしてほしいということになりました。スライドを減らすのは大変なので、細かいところは省きながらなんとか20分ぐらいに収まりました。当日、話しきれなかったことは、今回のレポートで補足しておきます。

ちなみに、前回のレポートはこちらです⇒WEB制作者が知っておくべきホームページの表示を規制する法律【関西フロントエンドUG】Webデザイン・Web制作に関する勉強会 #3

スライドシェアで公開

紙の資料は配布せず、あとからスライドを公開するというWEB業界のセミナーの習慣にならって、スライドシェアに公開しました。

実は、法律関係のセミナーの資料はあまり公開していないのですが、WEB関係者のセミナーに登壇する機会が増えてしまったので公開しています。貴重かも。

セッション登壇内容の概要

最初に自己紹介ということで、消費者法務が専門という中で、WEBに関するワンストップサポートを始めた経緯を簡単に説明しました。

WEBを活用したビジネスに必要な4つのステップとして、『ビジネスモデルの明確化⇒情報発信⇒集客⇒セールス』という全体を包み込んでいるのが法令遵守コンプライアンスであり、ユーザビリティであるということです。

今回のセッションの前に簡単に前回の復習として、ホームページを規制する法律の全体像についてお話ししました。

本日の目標と気づき

ホームページとは密接な関係となる通信販売について、法律違反をしているホームページをデザインしたり、制作したり、納品したりしていませんか?と問いかけることで、法令遵守の重要性を知っていただきたいと思います。

特定商取引法とは

  • 特定商取引法は読んで字のごとしで特定の商取引を規制する法律のことです。
  • 7つの商取引(訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売・特定継続的役務提供・業務提供誘因販売・訪問購入)があります、どれもトラブルの多い悪質商法がばかりで、クーリングオフなども規定されています。
  • そのなかに「通信販売」が含まれているということはトラブルが非常に多いということを表しています。

通信販売の定義をご存知ですか?意外に知られていません。

  • 「消費者対象」に「通信手段」で「購入の申し込み」を受け付けていた場合
  • 「商品」だけでなく、サロンや講座などの「サービス」も
  • 特定商取引法の通信販売の規制を受けます
  • 個人事業主であれば、本名や自宅の住所・電話番号は義務表示となります

これらを満たすと特定商取引法の通信販売となり、「特定商取引法に基づく表示」が必要になるわけです。

通信販売の要件を満たすと「通信販売広告」となりますし、満たさないと単なる「商品広告・イメージ広告」となるのです。

適用除外の規定があります

事業者間取引、行政サービス、他の法律で消費者保護がされているもの(金融商品、宅地建物、旅行、弁護士など)などは適用除外となっています。

事業者間取引が除外となっているのは、消費者と違って、お互いが事業者としてプロだから保護する必要がないということです。実際は情報弱者の事業者を狙う事業者がいます。クーリングオフなどが適用されなくなりますので、契約は慎重にということですね。

通信販売についての広告表示事項 は非常に多いです

①事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号
②事業者が法人でインターネット広告を行う場合には、事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
③販売価格(役務の対価)・送料 
※送料を表示するときは金額を表示。送料実費は不可 。幅・平均は可能。
④その他消費者の負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額
※工事費、梱包料、保険料、代引手数料、振込手数料、キャンセル料など
⑤支払の時期及び方法
⑥商品の引渡時期(役務の提供時期) ※期間又は期限を表示
⑦申込みの撤回又は解除、返品特約(返品の可否・返品の期間等条件・返品の送料負担の有無)
※見やすい箇所に明瞭に判読、容易に認識できるよう表示、12ポイント以上、色文字・太文字
⑧申込みの有効期限があるときは、その期限
⑨商品に隠れた瑕疵がある場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
⑩ソフトウェアの取引の場合は、その動作環境
⑪商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件
⑫販売数量の制限等特別の販売条件や提供条件があるときは、その内容
⑬広告の表示事項を省略する場合に、請求により送付する書面に金銭を負担させるときは、その額
⑭電子メールで広告するときは電子メールアドレス
※広告事項のすべてを確認するには画面のスクロールや画面の切替えを要さずにすむよう記載することが望ましい
※請求により書面(メール)送付することを表示した場合は①②など省略可能の項目がある

このなかからポイントなる事項をピックアップして紹介します。各項目の番号と合わせています。

なお、①②などは省略表示できるという規定がありますが、ここでの説明は省きます。

特定商取引に関する法律
(通信販売についての広告)
第十一条 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、販売業者又は役務提供事業者は、主務省令で定めるところにより、これらの事項の一部を表示しないことができる。
(以下省略)

特定商取引に関する法律施行規則
(通信販売についての広告)
第八条 法第十一条第五号の主務省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
(以下省略)

通信販売の表示の基本①②「名前と住所と電話番号は必ず表示」

法人であれば登記簿上の名称ですので問題なく表示できると思いますが、個人事業主の場合に自宅で仕事をしていれば自宅の住所を番地やマンション番号まで表示しなければなりません。また、氏名もビジネスネームではなく戸籍上の氏名を表示することになります。

自宅サロンなど、住所を途中まで表示して、「申し込みされた方には詳しい住所を知らせします。」というのはだめなことになります。自宅住所を表示したくない場合は、シェアオフィス・コワーキングなどを借りて住所にする方法もあり、最近はバーチャルオフィスでも実態があれば表示可能になっています。また、省略表示を使う場合は、「申し込みされた方」だけでなく、申し込みしていない消費者でも詳しい住所をすぐに知らせるようにする旨を表示しておけば、おすすめはしませんが法律上可能になります。※請求により書面(メール)送付することを表示した場合は省略可能

現実に、この表示をしていないことで行政処分されるということはないとは思いますが、通報されたら行政も対応せざるをえないので、クレーマーや同業他社からのチクりも含めて、つまらないリスクを抱えるよりは、きちんと対応しておいた方いいと思います。

通信販売の表示の基本③④「送料、キャンセル料」

③販売価格(役務の対価)・送料 
※送料を表示するときは金額を表示。送料実費は不可 。幅・平均は可能。

④その他消費者の負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額
※工事費、梱包料、保険料、代引手数料、振込手数料、キャンセル料など
(キャンセル料が不当な金額の場合は消費者契約法の不当条項により無効となる場合があります。)

通信販売の表示の基本⑦「返品特約」

この返品特約を知らない事業者も少なくないです。

「お客様都合による返品はできません」と書いていることが多いのですが、それは、返品特約によって、法律の基本条項よりも優先されるということになっているのです。この基本をきちんと分かっていないと、余計なトラブルになることもあります。

また、ショッピングモールなどに出店している場合に、ショッピングモールの返品特約が事業者にとっては不利になっていることがあるので、十分に確認する必要があります(お客様のために返品可能にしていることがあり、その負担はモールではなく出店者が負うことになっていることがあります)。

ただし、不当な返品特約は、消費者契約法により無効とされることがあるので注意が必要です。

通信販売の表示の場所

  • 広告事項のすべてを確認するには画面のスクロールや画面の切替えを要さずにすむよう記載することが望ましい
  • 特に運営者情報は画面の冒頭に記載する。 やむを得ず、冒頭部分への記載ができない場合は、容易に到達可能なリンクやタブで「特定商取引法に基づく表記」「会社概要」等を用意する

サイトのデザインを考えるときに意識しておかなければなりませんね。

私が個人的に思うことは、タブの表記を英語にした場合は、意味が分からない消費者も出てくるのではないかなあということです。英語の方がデザインがきれいだとしても、意味が分からなければユーザビリティではない場合もありますよね。

通信販売の表示の禁止事項

【禁止】顧客の意に反して通信販売の契約の申込みをさせようとする行為

  1. 申し込みとなることの表示⇒(ガイドライン)最終画面に注文内容表示・注文内容確認ボタン、戻る・変更・取消しのボタン
  2. 確認・訂正機会の提供⇒(ガイドライン)最終確認画面、「注文する」ボタン。

できていない場合は、電子消費者契約法により、契約は有効に成立していないと主張できる

要するに「最終確認画面」が必要ということです。ただ、問い合わせ画面を申し込み画面にしていたり、確認画面がでないタイプのフォームを使っていたりすれば対応できないことになるので、表示事項・デザイン・ツール・プラグインの検討が必要です。

実際のホームページをみてみましょう

具体的に表示ができていないサイトを紹介しました。個別のサイトになるので具体的なサイト名は伏せさせていただきます。

まとめ

限られた時間でしたので、特に注意してほしいポイントをお伝えしました。

WEB制作者にとっては、「納品されたサイトが法律違反であったと外部から指摘された」というクレームが来た場合にどう対応したらいいのでしょうか。瑕疵にあたるならば誠意をもって対応しなければならないですし、個別の請負契約の条項になっていたりする倍もあります(そのあたりは弁護士案件ですね)。

また、これらを知っていることでクライアントに必要性を指摘したり、追加ページや追加作業で単価を上乗せしたりできるかもしれません。

WEB制作者にとっての法律は、クライアントとの請負契約の内容に争点が行きがちですが、制作したクライアントのサイトが実際に運用するにあたって消費者に対して法律違反しているサイトではないかどうかを意識していただけると、制作会社としての信頼性も獲得できますし、エンドユーザーである消費者と事業者とのトラブルも少なくなるのではないかと思います。

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