11/26に明石商工会議所の創業塾フォローアップセミナーで「WEB情報発信と信頼されるホームページの作り方」の講師をすることを告知したところ、接骨院を経営している友人から非常に興味があるというメッセージがあり、それなら、接骨院の治療家向けに特化してWEB情報発信セミナーを開催しようということになりました。実は、参加費をいただく初めての自主開催セミナーとなりました。東大阪にある友人の接骨院で定員6人満席で開催しましたので、概要を報告します。
接骨院の広告規制
接骨院に特化したセミナーとなるので、広告規制について少し調べました。すると、すごい複雑で厳しい規制になっていることが分かり、私自身もはまってしまいました。また、法律と現場の実態に乖離があることも分かりました。おかげで、かなり詳しくなりました。
ホームページで情報発信するなら業界特有の広告規制を知らないとホームページで情報発信できないと考え、急遽、特別編として「接骨院の広告規制」を追加し、さらに「信頼されるホームページの作り方」の中で、「景品表示法」を少し詳しくお話しすることにしました。
業界の法律はある程度ご存じでしたが、景品表示法は初めてだという声や、業界の法律も見方を変えるとずいぶん考え方も変わるとの声がありました。
結局、スライドが150枚(94枚を6枚1ページにして配布)になり、いただいている3時間で終わるかなあと不安を持ちつつ、15分ばかりオーバーしてしまいました(みんなの自己紹介の時間分ですね)。
セミナー参加者の目的
セミナーのタイトルが、『WEB情報発信セミナー「信頼できるホームページの作り方・集客できるホームページの作り方」』とし、フェイスブックイベントと友人のHPで告知していただきました。
セミナーは、WORDPRESSを使ってどのように情報発信したらいいのか、アメブロやフェイスブックとの連携やSEO対策はどうすればいいのかなどWEBがメインで、私の専門分野は法律の専門家からのアドバイスとしての「信頼されるホームページの作り方」が項目の1つになっている告知内容でした。さらに、特別編として「WORDPRESSの導入手順」と「経営戦略・マーケティングの基本」も盛り込んでいます。
もしかすると、セミナーの内容と参加者の知りたいことにミスマッチがあるかもしれないと感じていました。
そこで、セミナーの最初にアンケートで、参加の目的を聞いたところ、WORDPRESSでホームページを作りたいがセミナーがない、自分で作ったホームページではWEB集客がうまくいっていない、など、WORDPRESSで集客できるホームページを作りたいというのが多かったです。私がWEB制作事業者と思われていたのかもしれません。
最初に、ホームページで情報発信していくためには、その前提として、「法律を理解した表示をして信頼されるホームページを作ること」が大切であり、私は法律の専門家だと紹介しました。WEBについては本来の専門家ではないが、もともとWEBは好きで、WORDPRESS暦も8年ほどあり、自然にWEBの専門知識が付いてきたことを説明しました。
セミナー内容
- 特別編「接骨院の広告規制」
- 1.信頼されるホームページ
- 2.集客できるホームページ・WEBによる情報発信
- 3.ホームページの作成費用
- 特別編「ワードプレスの導入手順」
特別編「接骨院の広告規制」
医業の分類
- 医業行為(医療行為)・・・医師しかできません。医療法。それ以外は医療類似行為となります。
- 法に基づく医業類似行為・・・「柔道整復師法」と「あはき法」の2つ。
- 法に基づかない医業類似行為・・・「カロプラクテック、整体、骨盤矯正、気功」など。
「1.医療法」や「2.柔道整復師法・あはき法」には法律の中に広告規制がありますが、3.には1.2.のような広告規制がないため、利用者からは、2と3の判断がつきにくいということが問題となっています(その関連で平成28年6月に一部法律改正がありました)。
医業類似行為とは
『昭和35年1月27日最高裁判決「医業類似行為は、人の健康に害を及ぼす恐れのある業務行為でなければ禁止の対象にならない」』との判断がもとになっています。
広告規制について
「医療法」「柔道整復師法・あはき法」はポジティブリスト方式の広告規制
それぞれの法律では、名称や所在地などの限られた基本事項しか表示できません。具体的な技能や施術方法、経歴に関しては広告できません。
実務的には保健所の指導のもとに届け出ることになります。都道府県ごとに、保健所ごとに、担当者ごとに、規制の強弱が微妙に異なる場合もありますので、保健所の指導に従ってください。
行政との上手な付き合い方について
先にお話したように行政機関によって対応が微妙に異なるのはなぜか?どのように立ち回ったらいいのかなどの事情について、行政の中にいた立場(しかも担当は違いますが保健所にいたこともある)から、お話しました。文字にしにくいのでセミナー限定での話になります。
医療広告ガイドライン【準用】・医療機関ホームページガイドライン【準用】
- 広告についてのガイドラインが公表されています。
- 医療広告ガイドライン・・・平成19年3月30日付け通知
- 医療機関ホームページガイドライン・・・平成24 年9月28日付け通知
- 医療法に基づく病院や診療所が対象となりますので、柔道整復師法とあはき法は対象外です。
- 接骨院は対象外ですが、事実上、準用されていると考えてください。
医療広告ガイドラインに示されている「通常、医療に関する広告とは見なされないものの具体例」
- 学術論文、学術発表等
- 新聞や雑誌等での記事
- 体験談、手記等
- 院内掲示、院内で配布するパンフレット等
- 患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメール
- 医療機関の職員募集に関する広告
- インターネット上のホームページ
※チラシは広告となるが、ホームページは広告とはみなされない。
美容医療の規制強化と同じように接骨院も規制強化される可能性も
【参照】国民生活センターHP[2012年8月2日:公表]
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120802_1.html
- 何がきっかけで業界に規制がはいるのかを消費者センターの元行政職員としての立場と経験からお話しました。
接骨院業界は景品表示法に気をつける必要がある
- 信頼されるホームページの作り方の中で少し解説しました。
- 不当景品類及び不当表示防止法
- 不実証広告規制に対応できること
- 【事例】小顔になる効果を標ぼうする役務の提供事業者9名に対する景品表示法に基づく措置命令(平成28年6月30日)
1.信頼されるホームページ
特定商取引に基づく表示
接骨院も予約の形態によっては特定商取引法の「通信販売」に該当することがあります。その場合は必要な義務表示があります。
「お問い合わせフォーム」と「申し込みフォーム」
みなさまが良く利用されているサイトでは、確認画面が付いているフォームが一般的ですよね。しかし、それを自分のホームページには実装できていません。法律上の問題点やワードプレスで実装できるプラグインの話をしました。
個人情報保護法への対応も必要です
機会ロスをなくしましょう
信用できないホームページだと思われると、お客さまは離脱します。なかなか、それに気付くことは難しいです。もったいないことを少なくしてほしいと思います。
2.集客できるホームページ・WEBによる情報発信
- 「ホームページ」と「ブログ」の違い⇒「ブログ型ホームページ」=ワードプレス
- トリプルメディアの違いと使い方・・・「ペイドメディア」「アーンドメディア」「オウンドメディア」
- アメブロ・フェイスブック・ワードプレスの特徴とメリット・デメリット
- アメブロで確認すべき10項目
- アメブロよりワードプレスをおすすめする理由
- フェイスブックのタイムラインに優先表示されるエッジランクとは?
- スマホ対応は必須
- ホームページのレイアウト・ページ構成
- SEO対策の基本
- SSL通信(https://の導入)でセキュリティを高める
- オウンドメディアを中心に情報発信する
経営戦略・マーケティングの基本
接骨院を開業する場合は、創業セミナーなどの経営支援をうけることがないと思うので、少し紹介しました。
※時間の関係で中途半端なったので、このセミナーでは今後不要かなと思いました。
3.ホームページの作成費用
- ホームページを作るときに外注するか自分で作るか?
- 外注する場合は費用がどれぐらいかかるのか?
- 格安ホームページの仕組み(基本料金+月会費)
- 自分で作る場合のレンタルサーバー会社とドメイン提供会社の具体的な選び方と費用
具体的なおすすめサーバー・ドメイン
- 一番のおすすめは「エックスサーバー」
- 標準どころでは「ファイアバード」
- 「ロリポップ!」や「ハッスルサーバー」などの格安サーバーはビジネス用途ではおすすめしません。
- ドメインは横並びという感じで、「スタードメイン」「ムームードメイン」「お名前.com」といった感じです。
- それぞれリンクをつけています。ちなみにワードプレス講座でも説明するアフィリエイトになっています。
特別編「ワードプレスの導入手順」
- ホームページを作る場合に、WORDPRESSを使って自分で作成するが、初期の導入をサポートしてほしいという事業者を対象とした「ワードプレス・スタートアップ講座」を来年から開催する予定です。
- ドメイン選択からサーバーの契約、ワードプレスのインストールから初期設定、プラグインの導入と設定、確認画面付きお問合せフォーム等の必須ページの作成、SEO対策、ブログ記事の書き方、パワポを使ったヘッダーの作成、アメブロ・フェイスブックとの連携、アフィリエイトの活用など、実際に講座で実施する手順をざっくり紹介しました。
- 個人で作成すると、ある程度のHPを作るのに200時間は必要だといわれていたりしますが、講座では、見本とコピペを活用しながら、ご自身で作業いただき、20時間程度(2日半)を目標に完成させる講座です。
まとめ
このセミナーの特徴は、「広告規制等の法律」「信頼」「集客」「HP作成費用」など、WEBを使った情報発信に関する必要な情報を、ほぼ網羅しているワンストップセミナーであることです。通常は、それぞれ専門家が担当するのでバラバラで受講することになり、関連性をヒモ付けることが難しい場合もあります。
これも、私が消費者法務というレアな分野の専門家であり、また、趣味から始めたWEBが趣味を越えて専門レベルに近づいたというコラボレーションの結果だと感じています。
法務は一度で理解するのは難しいかもしれません。しかし、ビジネスにはとても大事なところです。セミナーでは初心者でも法律を興味持って理解できるように伝えることを心がけています。
セミナー受講後に、ご自身でアウトプットをされると疑問点が出てきます。その場合はセミナーを再受講したり、個別相談をすれば理解がより深まり、自分で使いこなせるようになると思います
そして、最後の「ワードプレス・スタートアップ講座」は、「ホームページ(ワードプレス)を外注ではなく自分で作りたいが初期のハードルが高い、集客できる情報発信の方法を反映させたい、自分で使いこなせるようになりたい」など、まわりの悩みの声から始めようと思いました。
要するに、時間のショートカットです。ビジネスを早く軌道に乗せるためには時間が貴重です。ホームページは24時間年中無休で無料で働いてくれる営業部員になります。早く働き始めたほうがビジネスは加速しますよね。時間と費用の関係がありますので、選択肢の一つとして提供しています。
セミナーを振り返って
もともとは、せっかくホームページを使って情報発信・集客しているなら、広告規制などの法律を理解して、お客さまが離脱しない信頼されるホームページにしてほしいというのが、消費者法務を専門としている私の思いでした。
しかし、法務を学ぶセミナーは誰も興味がなく集客できない、ということで集客しやすいWEB情報発信をからめて、その中で法務を話すことにしました。参加者は最初は「法律?」とミスギャップを感じるかもしれませんが、終わってみると、「法律がとても勉強になった」「もっと法律を深く学んでみたい」という感想をいただけます。法務の専門家としては集客できるWEBを絡めないとだめなのかと悲しい気持ちになりますが、一つのきっかけと思えばいいと考えます。さらに、WEBの話をできることは「趣味から始まりいつの間にか専門家になった」という別の意味での喜びになっています。
ワードプレス・スタートアップ講座に来てもらうためのフロンとセミナーという位置づけもありましたが、フロントにしては豪華すぎるなあと。法律のは話はフロントセミナーじゃない専門セミナーだよという気持ちもありますし、このセミナーだけであるていど完結していますし、今後、セミナー実施形態については再考の余地があります。
情報量が多くて消化できないという感想もありました。私のセミナーはボリュームが多く、情報の洪水になってしまい、いつも反省しています。とはいえ、広く浅く、必要最小限にしているつもりなんですよね。例えば、個人情報の取り扱いについてもっと知りたいのであれば、2時間のセミナーに参加してくださいなど、各法律ごとにあります。「1つの分野を2時間じっくりと」もありますが、「6個の分野を20分づつ2時間で全体像を知ってもらう」というスタイルなんです。カットする部分が見あたらないのですね。
それよりも、続きは不要で、がっつり1日使って、さわりだけでなく、詳しいところまで知ることのできる完結型セミナーのほうが、少々費用がかかっても話が早いかなと思ったりしています。
今後のセミナーについて「業界を絞ったほうが効果が高まる」
今回は接骨院を対象としましたので、がっつり接骨院に関する広告規制を話することができました。結果的には喜ばれました。同じようなセミナーをするなら、業界を絞ったほうが効果が高まると感じました。
今回のセミナーに女性サロン経営者から問い合わせもあり、業界的にも似ているので、サロン対象、いわゆる「法に基づかない医療類似行為」を対象に、セミナーを開催しようかなと考えています。
対象者を絞らないWEB情報発信セミナーも随時開催する予定ですが、まず、地元の明石で2月ごろに開催する予定です。
投稿者プロフィール
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◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野
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