個人情報保護法改正の記事を書いたことをきっかけに、女性起業家を支援している奈良のWomen’s Future Center(ウィメンズフューチャーセンター)で、勉強会を開催することになりました。WFCでのセミナーは3回目で、意識の高い女性個人事業主が多く参加しています。

セミナータイトル

個人情報保護法セミナー
『どうすればいいの?私たちの個人情報』
~個人情報保護法の改正で個人事業主などの小さなビジネスも規制対象に~

難しい法律を分かりやすく説明するには、十分な時間が必要で、今回は3時間いただきました。30分ぐらい余るかなと思ったのですが、がっつり3時間かかりました。みなさん、3時間しっかり集中されていてすばらしいです。

弁護士や大学教授などの専門家がNHKや学校だとすると、私のセミナースタイルは民放や塾のような感じです。大事なところや実務で使うところを事例を使って丁寧に説明し、それ以外は軽く流すという感じです。

『インプット⇒アウトプット⇒インプット』の作業を!

今回のセミナーは最初の「インプット」です。今回学んだことを参考にして、ご自身のHPの表示等を見直す「アウトプット」の作業をしてください。アウトプットしていくと、不明確な点や確認事項等が出てきますので。復習をしたり、個別相談を受けていただいたりします。すると、自分の知識として身についてきます。さらに、同じセミナーをもう一度受けると、理解が深まります。そんな、「インプット⇒アウトプット⇒インプット」の作業をしていただくと、コピペの知識ではなく生きた知識となります。そのためにも、アウトプットしようと思えるような最初のインプットが大事です。最初のインプットが意味不明だとそこで終わっちゃいますからね。分かりやすいインプットをこころがけています。

セミナーは3部構
  1. 個人情報の流出と損害賠償
  2. 個人情報保護法の基本と改正法の概要
  3. 事業者が具体的にすべきこと
    ホームページでの表示の実際
    プライバシーポリシー

内容を簡単に紹介します。

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第一部 個人情報の流出と損害賠償

個人情報流出事件は頻繁に発生していて、小さな事件でも、すべて事業者名が実名報道されています。

事件を起こしてしまうと社会的な信用失墜だけでなく、損害賠償請求のリスクを負い、経済的なダメージも大きいです。

具体的な損害賠償の事例を紹介し、特に、過去最高額の賠償判決が出たTBCの事件についての判例で、センシティブ情報がどのように表現されているか紹介しました。

さらに、損害賠償とは何か、慰謝料とは何かというのが、民法の不法行為による損害賠償の規定によることを解説しました。

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第二部 個人情報保護法の基本と改正法の概要

個人情報流出のリスクを知っていただいたところで、個人情報保護法がどんな法律かを解説しました。この法律はあまり面白い法律ではなく、言葉の定義がいろいろあって、理解するのが大変ですが、「個人情報」「個人データ」「個人情報データベース等」「保有個人データ」について、顧客名簿を実際にエクセルで作成することを例にあげて解説しました。ちなみに、BtoC(消費者との取引)だけでなく、BtoB(事業者との取引)も対象になります。

次いで、このたび10年ぶりに大きく改正される個人情報保護法について解説しました。
この改正、実は、ただ1点「ビッグデータ」を活用するということが大きな目的で、それに伴い関連する定義や仕組みなどの細かいところを改正しただけなんです。
しかし、その中で「法律の規制対象から除外される保有個人情報が5000件以下の個人情報取扱事業者」の除外規定がなくなるという、個人事業主には大きな改正項目がこっそり?含まれています。HPにはお問合せフォーム等があるので、おそらく今後はすべての事業者が対象となるということはあまり知られていないかもしれません。

改正された場合は基本的には事業者の義務は今とほとんど変わらないので、それに備えて、どのような点に注意しなければならないのかというポイントを解説しました。

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第三部 事業者が具体的にすべきこと、ホームページでの表示の実際、プライバシーポリシー

第三部では、法律の基本を学んだところで、実際に個人情報取扱事業者になった場合に、具体的に何をすればいいのかということを、事業者の中でやること、HPなどの表示で外部にお知らせしておかなければならないことなどをお話しました。できる部分は今からでも実施したらいいです。実際に多くの方が無意識的にコピペで「利用目的の通知」は行っています。また、グーグルアナリティクスなどの外部サービスを利用する場合はIPアドレスやクッキー等を利用していることを表示する規約になっているので、すでに対応する義務があったりします。

最後に「プライバシーポリシー」は法律的にはどのような位置づけになっているのか。また書くとすればどのようなことを書いたらいいのか、などを解説しました。

また、参加者のHPをみながら、チェックポイントを確認しました。

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【追記】当日、触れてなかったと思うのですが、誰もがHPに設置しているお問合せフォーム、記入する内容によっては個人情報の収集にもなるかもしれませんね。ということは利用目的を通知しなければ...

セミナー、企業研修、個別相談

はりまコーチング協会では、今回ご紹介した「個人情報保護法」に関するセミナーや企業研修での講師だけでなく、通信販売に必要な特定商取引法や景品表示法、食品表示などの消費者対応に関する法律やコンプライアンスに関する企業研修も受けています。また、具体的なHPの表示等の個別相談も受け付けています。

投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野