明石商工会議所主催の「景品表示法基礎セミナー」の講師をさせていただきました。

一般的に、法律のセミナーへの関心度は低いので参加者数を心配したのですが、最終的に、ホテル、食品関係、WEB関係、個人事業主など27人の参加があり、会議室はいっぱいになりました。ありがとうございました。

今回のセミナーの目的は、偽装表示が相次いだために昨年12月に改正された景品表示法について、景品表示法の基礎知識を学び改正法で義務付けられたことを具体的に確認し、各事業者で行動していただくきっかけをもってもらう事です。

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セミナーの概要

景品表示法の基礎知識

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」です。

不当景品類

不当景品類はいわゆる「懸賞やおまけ」のことであり、取引する商品の金額によって上限や総額が決まってきます。

たとえば、単独のお店では上限が10万円となりますが、商店街など共同で行う福引は上限が30万円に緩和されるなど、細かい決まりがあります。また、懸賞と景品(おまけ)も違いがあります。

これらのルールに違反しないように注意するとともに、チラシを作る広告関係者もクライアントに助言できるようにしていただきたいということで、具体的なチラシをいくつか確認しながら検証しました。

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不当表示

不当表示には「優良誤認」と「有利誤認」があります。
優良誤認は、商品・サービスの品質、規格などの内容についての不当表示です。
有利誤認は、商品・サービスの品質、規格などの取引条件についての不当表示です。

優良誤認と有利誤認について、具体的な広告やHPを見ながら、両者の違いと違反になるポイントを確認しました。

また、二重価格、おとり広告、比較広告、打ち消し広告、No1表示、ネット広告(アフィリエイトや口コミサイトトなど)の問題点や絵合わせについて紹介しました。

行政処分

行政処分を受けるとどうなるのかを不実証広告規制(表示の裏づけとなる合理的な根拠を示すルール)の実例を示しながら、「虫よけ商品」と「シェードネット」の行政処分を検証しながら確認しました。
また、実際の行政処分の事例をいくつか紹介しました。

改正景品表示法の概要

表示管理体制の構築の義務化

景品表示法が改正された背景を知っていただき、今後事業者に義務付けられた表示の管理体制をどのように構築していかなければならないのかを具体的な行動例を示しながら解説しました。

7つの項目について指針が出されています。その中でも特に重要な事項について、飲食店をケーススタディとして履歴管理や情報共有などの重要性を解説しました。

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また、不当表示を恐れるのではなく、付加価値をアピールして売り上げを向上させるためのヒントとして、機能性食品やブランド化、食材の履歴・背景表示などを紹介しました。

課徴金制度の導入

不当表示に対する課徴金制度の導入が予定されています。実際に行政処分された事例に課徴金が課せられた場合、どのようになるのかを実際に金額を計算しながら解説しました。

感想

休憩なしで2時間みっちり解説しました。みなさん、最後まで寝ずに真剣に聞いていただき、感謝しています。内容をかなり盛り込んだので、情報を整理しきれなかったかもしれず、理解していただけたか少し心配です。量を減らして、一つ一つじっくり説明しても良かったなあと思いました。

今回のセミナーで情報をインプットしていただいたので、次は、自社の事業について確認するというアウトプットの作業をしていただくことになります。分からないところはもう一度確認してインプットしなおし、コンプライアンスを構築してほしいと思います。

【追記】アンケートの結果

  • 有効回答数26人でした。
  • ノウハウ系のセミナーは役立ちポイントが満載なので満足度は高いと思いますが、今回のような法律学習系セミナーは1回のセミナーで理解するのは難しいと思います。ぼんやりと聞いていれば何を言ってるのか分からないでしょうし、しっかり集中が必要です。そういう意味でも、「難しかった」「理解できなかった」と、数人が回答しているのはリアルだったと思います。
  • 「セミナー全体」「景品表示法の基礎知識」「改正法」「今後すべきこと」を5段階で理解できたかという質問に対しては、7割-2割-1割という感じでした。
  • 『景品表示法への対応の現状について』の質問では
    「不当表示」への対応ができていたという回答が4割であったのに対して、できていなかったという回答が2割もあったので、もしかしたら気づかないうちに表示が不適切になっていたかもしれません。意識したことがなかったという回答を含めて、今回のセミナーで景品表示法のことを知ってもらえたことはよかったと思います。
  • 『法改正の1つの「従業員教育等の表示管理体制」ができているか』の質問では
    できていたのは1割と少数で4割はできていなかったと回答しています。意識したことがなかったという回答を含めて、今後やるべきことを知ってもらえたことはよかったと思います。
  • 『表示や従業員教育など今後の事業所の対応について』の質問では、多くの事業所が自社で対応するとの回答でしたので、今回のセミナーをきっかけに意識してもらえればと思います。
  • 自由回答(抜粋)
    ・身近なニュースを例にしていたのでとても分かりやすかった
    ・共通認識情報共有の大切さを改めて思い知りました
    ・不当表示は問題だが、正当な表示はイメージアップ効果となる
    ・すべての従業員が説明できるように表示の教育の必要性を感じた
    ・今すぐできることは何かが分かったので、大変ありがたい内容でした
    など
  • 今後、ホームページやチラシの作成時に、セミナーで説明した「表示」を意識してもらえればと思っています。アンケートの回答ありがとうございました。

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研修・個別相談

  • 改正法では表示に関係するすべての従業員に法の知識を学んでいただくことが求められています。情報共有することの意味を理解するためにも、今回のような研修を行っていただければと思います。
  • 社内研修や個別相談をご希望の場合はお問合せください。事業内容に応じてケーススタディを含めた研修メニューを提供します。
  • どのような研修だったのか知りたい場合は、今回の研修資料を見ながらご説明にお伺いします。
  • お問合せフォームもしくは電話・FAXでご連絡ください。

今回のセミナーを個別の企業に紹介するために作成した資料があるので必要な場合はご活用ください。⇒270619-セミナー案内資料(PDF)はこちら

 

投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野