【西日本高速道路サービス・ホールディングス株式会社】飲食店メニュー・物販の表示違反対策研修~景品表示法・食品表示法について~(2018年10月3日)報告

レストラン等の飲食店のメニュー表示は景品表示法で規制されています

最近の高速道路のサービスエリアは独自色を強めて観光地化し、地元の特産品を売りにするところが多くなっています。レストラン等の飲食施設も地元の食材を使用して特徴をアピールしています。また、物販においても地元の特産品を扱っています。

平成25年にレストランメニューの不適切な表示が社会問題となり、景品表示法が規制強化されました。サービスエリアでは、地元の特産品をメニューにしていることも多く、表示違反にならないように気を付ける必要があります。

西日本高速道路サービス・ホールディングス株式会社は、高速道路のサービスエリアを管理運営しており、それぞれの施設にはさまざまなテナントが入居してしています。この度、大阪支社管内(大阪・兵庫・京都・滋賀・奈良・和歌山)のサービスエリア・パーキングエリアのテナント責任者を対象として、食品表示違反策研修をさせていただきましたので、概要を報告します。西日本高速道路サービス・ホールディングス株式会社とは、今年の春ごろからサポートにかかわらせていただいています。

研修の意義

規制強化された景品表示法で義務付けられた「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の指針」の7つの措置のうちの1番目に「景品表示法の考え方の周知・啓発」があげられており、表示に関係する従業員等に対して、勉強会や研修会を開催することが示されています。

今回の研修が、「景品表示法の考え方の周知・啓発」に該当する研修となります。すでに研修等で勉強されている方から初めて勉強する方まで100人近い参加者でした。また、責任者が参加されるので、できるだけ景品表示法を網羅してお伝えするとともに実際のメニュー表示にあたって注意すべきことを具体的な事例を挙げて紹介しました。さらに、新しい食品表示制度が1年半後に完全施行されるにあたり、物販で扱う商品に表示違反がないか確認できるように食品表示法のお話もさせていただきました。そのため、4時間という長丁場の時間をいただいた研修となりました。

参加された責任者は、それぞれのテナントの従業員にも「景品表示法の考え方の周知・啓発」をするという大きな役割を担うことになります。それぞれのテナントにおいて今回のような研修会を開催するのが大変な場合は、私のような専門家に講師を頼むという方法も紹介しました。

レストラン等に飲食関係の方が、この記事を読まれているのであれば、ご自身の施設が表示の管理体制ができているかを確認いただき、必要な研修をしていただきたいと思っています。

【研修の概要】飲食店メニュー・物販の表示違反対策研修~景品表示法・食品表示法について~

  • 景品表示法…景品表示法の基礎知識・表示の管理体制の構築
  • 食品表示法…物販商品の表示・法改正に備える

景品表示法違反による措置命令の事例解説(具体的な事例で表示違反をイメージ)

マクドナルド「ローストビーフバーガー」(平成30年7月24日)

  • 『対象料理に使用されているローストビーフには「ブロック肉」を使用しているかのように示す表示をしていたが、実際には、ローストビーフの過半は「成形肉」を使用していた。』
    ⇒消費者庁から優良誤認表示で措置命令を受けて、商品画像に「※ローストビーフは厳選した牛肉の切り身をブロック肉に加工」が注意書きされました。ホームページの過去のメニューから閲覧可能です。ちなみに、大阪ビーフカツバーガーのメニュー写真にも気づきがあります。
  • 措置命令を受けた時のお詫び文や社告についても解説しました。

 

塚田農場「地鶏」(平成30年5月22日)

  • 『メニューの表紙から数ページ分に「地鶏」をアピールしていたが、「チキン南蛮」「月見つくね」「塩つくね」「椎茸つくね南蛮」の料理には、ブロイラーや地鶏ではない親鶏を使用していた。』⇒消費者庁から優良誤認表示で措置命令

 

措置命令の具体的な内容を解説

  1. 違反したことを一般消費者に周知徹底すること
  2. 再発防止策を講じて、役員及び従業員に周知徹底すること
  3. 今後、同様の表示を行わないこと
  4. 1・2について速やかに文書を持って消費者庁長官へ報告すること

措置命令を受けると、新聞社告で膨大な費用支出が必要であり、また、事後の対策にも大きな手間暇が必要です。

★『再発防止策を講じて、役員及び従業員に周知徹底すること』←これが研修等の必要性であり、表示の管理措置の1つめの「景品表示法の考え方の周知・啓発」に該当します。

なぜ、表示違反に対して、こんなにも厳しいのか?

『なぜ、表示違反に対して、こんなにも厳しいのか?』というと、表示は消費者が商品を選択する唯一の手掛かりであり、虚偽や間違いは許されないからです。したがって、表示違反に対しては故意・過失は問われない無過失責任となります。

景品表示法の規制強化の流れは2013年・平成25年の相次ぐ事件で大きな転換点

  • 消費者の安全・安心をめぐる問題として食品表示等の不正事案が多発
  • ホテルや百貨店、レストラン等において、メニュー表示と異なった食材を使用して料理を提供
  • 「日本の食」に対する国内外の信頼が揺らぎかねない事態

事業者のコンプライアンスの確立が必要⇒事業者の表示管理体制を明確化(景品表示法の改正による規制強化)

  1. 事業者が講ずべき表示等の管理上の措置(平成26年12月施行)
  2. 行政の監視指導体制の強化(平成26年12月施行)
  3. 不当表示に対する課徴金制度の導入(平成28年4月施行)

景品表示法とは(景品表示法の基礎知識)

具体的な違反事例のニュースを参考にしながら解説しました。

表示とは

景品表示法での表示とは、パッケージやラベル、店内ディスプレイやポップ、パンフレット、チラシだけでなく、文字になっていないCMやセールストーク、店頭販売での売り子の訴求も該当します。
したがって、研修の対象となる「表示に関係する従業員」は広い範囲になります。

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」

◆ 不当景品類・・・過大な「懸賞」や「おまけ」
◆ 不当表示・・・優良誤認、有利誤認、その他指定表示
◇ 優良誤認表示には「不実証広告規制」⇒その表示の裏づけとなる根拠を示す資料を15日以内に提出
◇ そのほかに、おとり広告、比較広告、打消し表示、NO1表示などのガイドライン類

優良誤認表示とは

  • 商品・サービスの内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す表示
  • 商品・サービスの内容について、一般消費者に対し、事実に相違して競争事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示

有利誤認表示とは

  • 商品・サービスの取引条件について、実際のものよりも取引の相手側に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示
  • 商品・サービスの取引条件について、競争事業者に係るものよりも取引の相手側に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示

「著しく」とは? 景品表示法には具体的な判断基準がないので分かりにくい

景品表示法と食品表示法の違い(表示の規制には大きく2種類ある)

  • 一定の事項の表示を義務付ける規制
    ⇒食品表示法…明確な判断基準がある(食品表示基準)
  • 不当な表示を禁止する規制
    ⇒景品表示法…表示から受ける一般消費者の印象・認識を基準

 

不当景品類について

プレゼントや懸賞、おまけには「金額」の規制があります。店舗では単独もしくは共同でキャンペーンを実施することがありますが、特に上限金額を超えないように注意することが大切です。

【最重要ポイント】事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針

  1. 景品表示法の考え方の周知・啓発
  2. 法令遵守の方針等の明確化
  3. 表示等に関する情報の確認
  4. 表示等に関する情報の共有
  5. 表示等を管理するための担当者等を定めること
  6. 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
  7. 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

これらの7つの措置を講じることが、改正景品表示法で義務付けられたものであり、表示違反対策のポイントなります。

不当景品類及び不当表示防止法

第四節 景品類の提供及び表示の管理上の措置
(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置)
第二十六条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項及び商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定に基づき事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において単に「指針」という。)を定めるものとする。
3 (以下省略)
(指導及び助言)
第二十七条 内閣総理大臣は、前条第一項の規定に基づき事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要があると認めるときは、当該事業者に対し、その措置について必要な指導及び助言をすることができる。
(勧告及び公表)
第二十八条 内閣総理大臣は、事業者が正当な理由がなくて第二十六条第一項の規定に基づき事業者が講ずべき措置を講じていないと認めるときは、当該事業者に対し、景品類の提供又は表示の管理上必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を行つた場合において当該事業者がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。

課徴金制度

  • 対象は「優良誤認」「有利誤認」
  • 対象商品・役務の売上額の3%の課徴金
  • 課徴金額が150万円未満は対象外 ⇒ 売上額5,000万円以上が対象
  • 違反を自己申告した場合の課徴金は半額、自主返金(所定の手続き)で減免

メニュー表示・表示の管理措置の具体的な実務

下記の通知や制度を具体的な食材で例示しながら表示のポイントを解説しました。実は事業者としてここが一番気になるところです。

 

新しい食品表示制度

  • 食品表示制度が大きく変わったのが平成27年4月1日です。ラベルの変更などの大きな変更があるので5年間の猶予期間が設けられましたが、まだまだ古い表示のままです。あと1年半にせまった完全施行までに対応できるかが、今の大きな地雷になっています。
  • 販売店で表示違反の商品を販売していると何かと手間なことが出てくるかもしれません。大企業は期日までには適正に対応すると思いますが、中小企業は法律が変わったことさえ知らない場合もあります。
  • サービスエリアでは物販商品も扱っており、その中には、地元の特産品もあります。直接取引している中小企業に対してラベルの変更などの状況を確認しておくことが大切です。
  • 特に、従来は販売者表示で固有記号が使われていましたが、原則、製造所を表示することになりましたので、名前が出ると不都合のあるメーカーもあるかもしれません。
  • 自音の特産品なのに製造しているのが遠い工場メーカーだったりしますので、地元の特産品としてきちんと説明できる根拠を確認しておきたいところです。

食品表示制度の主な変更点

1. 加工食品と生鮮食品の区分の統一
2. 製造所固有記号の使用に係るルールの改善
3. アレルギー表示に係るルールの改善
4. 栄養成分表示の義務化
5. 栄養強調表示に係るルールの改善
6. 栄養機能食品に係るルールの変更
7. 原材料名表示等に係るルールの変更
8. 販売の用に供する添加物の表示に係るルールの改善
9. 通知等に規定されている表示ルールの一部を基準に規定
10. 表示レイアウトの改善
11. 経過措置期間

【追加】
原料原産地表示の義務化(平成29年9月1日施行)⇒平成34年4月1日に完全施行
・国内で製造又は加工された全ての加工食品(輸入品を除く)が対象。
・原則として製品に占める重量割合上位1位の原材料が対象。

まとめ

  • 今回の研修は飲食店および食品物販に特化した研修となっており、ブランド牛肉など具体的なメニュー表示の実際についてケーススタディを交えながらお伝えしました。
  • 聞いて終わりではなく、それぞれの店舗に戻ってから、7つの表示の管理措置の確認をしつつ、その中の1つとして「景品表示法の考え方の周知・啓発」をする必要があります。ぜひ、研修を行っていただきたいと思います。

研修・個別支援の案内

  • 「飲食店メニュー・物販の表示違反」対策研修
  • 「表示の管理体制の構築」の個別支援

◆今回の研修を参加者層や目的に合わせてカスタマイズします

◆メニュー表示などの現状の表示管理体制のヒアリングとアドバイスをします

◆景品表示法に基づく7つの「表示の管理体制の構築」を支援します

「飲食店メニュー・物販の表示違反」対策研修、 「表示の管理体制の構築」の個別支援

表示の管理体制や研修についての相談は、問い合わせフォームもしくは電話等でご連絡ください。

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