電子商取引は英語では「Electronic Commerce」といい、「Eコマース」や「EC」と呼ばれています。

電子商取引のルールなどについては、経済産業省が施策を実施しているので、経産省の取り組みをみれば大まかな枠組みを理解することができます。

そこで今回、施策の大枠について解説しますので、電子商取引についてのルールや問題点、課題等を知り、事業の参考にしてください。

経済産業省HP
政策について>政策一覧>ものづくり/情報/流通・サービス>情報化・情報産業>主要施策>電子商取引の促進
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/ec/

  • 電子商取引及び情報財取引等に関する準則
  • 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律
  • 電子商取引における消費者トラブル解決の仕組み
  • 国境を越える電子商取引の環境整備

特に最初の2つのルールは重要ですので、別途解説記事を作成します。

電子商取引及び情報財取引等に関する準則

契約の申し込みと承諾など、商取引の契約の多くは民法が元になっています。
民法などの契約に関する一般的な法律は、近年、急速に進んだネット取引などの契約に、どのように適用するのがが難しくなってきています。民法自体、ネットがない次代に作られた法律ですからね。
民法での解釈が難しい場合は、本来であれば、裁判所の判例に基づき運用されますが、ネットの歴史は浅く、新しい取引の仕組みも次々に誕生しているので、判例も多くはなく、法令の解釈に迷うことがあります。

そのため、あらかじめ、法令の解釈についてガイドラインのような目安を示すことによって、取引をスムーズにしようというものが、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」です。略して「準則」といわれます。
あくまでもガイドラインですので強制力はないですが、実質的には強制力のあるルールとして解釈されています。
ネット取引をするうえで、とても重要なルールが説明されています。

平成14年3月に「電子商取引等に関する準則」として策定されましたが、平成19年3月改定で「情報財(ソフトウェア、データベース、デジタルコンテンツなど)」が追加され、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」となりました。
この準則は、ネットでの新たな取引形態や契約トラブルなどにあわせて、ほぼ毎年改正されています。

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の解説はこちらです(準備中)

電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律

一般的に「電子契約法」と呼ばれています。
平成13年に制定された比較的新しい法律です。ネット関連だから当然といえば当然ですね。
ワンクリック請求やご注文の成立時期についてトラブルが多発して法的な解釈が明確にされたという背景もあります。

ポイントは2点

  1. 意図せず誤って申し込んだ契約は無効である(錯誤無効)
  2. 申し込みの承諾は電子メールを発信したときである(発信主義)

それぞれ民法の

  1. 事業者・消費者間の電子消費者契約における消費者の操作ミスによる錯誤に関して、民法第95条の特例措置(第3条)
  2. 電子承諾通知に関して、民法第526条等の特例措置(第4条)

に対応しています。

「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」の解説はこちらです(準備中)

電子商取引における消費者トラブル解決の仕組み

  1. 経済産業省では、司法を補完する、ITを活用した簡便な紛争解決システム(ADRと呼びます:Alternative Dispute Resolution)に取り組んでいます。
    民間オンラインADR機関
    「一般社団法人ECネットワーク」 http://ecnetwork.jp/
  2. 取引において第三者を仲介することで安全性を高め、未然にトラブルを低減することが可能となる決済システムの一つであるエスクローサービスの普及にも取り組んでいます。

国境を越える電子商取引の環境整備

事業者や消費者が安全に越境電子商取引を行うことができるよう、越境電子商取引に関する法的課題その他の課題の明確化の他、越境電子商取引に関するトラブル解決の仕組みづくり等に取り組んでまいります。

越境電子商取引とは、海外のネットショップで購入した商品の取引のことで、偽物だったり、商品が送られてこなかったり、詐欺的であったり、トラブルが多発しています。

この経産省のページでは紹介されていませんが、平成23年11月に平成23年度末までの事業として越境取引に関する消費者の相談窓口(CCJと呼ばれています)が実験的に開設されました。その後、引き続き、消費者庁委託事業として運営されています。

越境取引に関する消費者相談窓口
国民生活センター越境消費者センター(Cross-Border Consumer Center Japan)
https://www.ccj.kokusen.go.jp

投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野