消費者法務コンサルタントの赤松です。

今回は、前回お知らせした「不当景品類で初の措置命令が出たという事例」を紹介します。

概要は、新聞購読の購読契約における景品(総付景品)が景品表示法で定められている上限の金額を超えるものであったということです。

新聞購読には、契約期間を定めずに契約する方法と2年や3年などの長期間の契約があり、後者の長期契約の場合には、商品券や商品などを景品として提供する習慣があります。
事業者間の競争が激しくなり、提供される景品が高額化してしまうと、消費者が正しい商品の選択ができなくなるため、景品表示法で提供される景品類の範囲が制限されています。

新聞の購読契約で提供される景品は「総付景品(もれなくもらえるおまけのようなもの)」になります。
通常は景品表示法で一律に定められている要件として、「総付景品は1000円以上の取引金額に対して20%が上限」となりますが、特定の業種には告示が出されています。
新聞業については業種別告示で「取引金額の8%または6か月分の購読料の8%のいずれか低い金額」となっており、今回景品として報道されている「電動アシスト自転車」は81000円相当であり、この制限に違反するものです。

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」であり、不当表示だけでなく不当景品類(過大な景品類の提供)も対象ですが、この不当景品類の措置命令がこれまでありませんでした。私も色々調べたのですが、行政指導レベルのものは東京都など都道府県レベルで見かけており、その場合は非公表もしくは概要の公表となっていました。

現実には、不当景品類の違反はおそらくたくさんあると思います。特に、今回のような新聞購読については、都心部に住んでいれば購読契約の競争があるので経験されている方もいると思います。

また、高齢者の契約トラブルの問題として消費生活センターの現場では非常に多い事例でもあります。今回の大阪府の事例でも、一人暮らしの高齢者の解約トラブルが多発したことが報告されています。

新聞契約の多くは訪問販売によるものであり、特定商取引法でクーリングオフ期間が定められ契約書類を交付することになっています。クーリングオフ期間を過ぎると、合意解約の交渉になり、新聞契約の場合には中途解約を認める代わりに景品を返還することが求められことが一般的です(契約解除による民法の不当利得の返還義務)。この景品の返還トラブルも少なくありません。

個人的には「ついにやってくれたか」という感じです。今回の不当景品類の初の措置命令には驚いたとともに、同様の新聞販売店は少なくないと思いますので、今後どうなるのか見守りたいです。そして、貴重な事例であり、私の研修の題材にも使いたいと思います。

今回の措置命令は大阪の個人経営者の販売店です。措置命令書は大阪府のホームページで公表されているので誰でも見ることができますが、法人ではなく個人事業主の場合は、「店名、こと実名」という形ですので、ちょっとつらい表現ですね。そして、小さな町の個人店舗が措置命令という大きな行政処分を受けた背景として、平成26年12月に施行された改正景品表示法による規制強化の1つである「行政の監視指導体制の強化」により都道府県にも措置命令を出すことが可能になったということです。
自治体によって温度差はあると思いますが、消費生活センターでのトラブルがそのまま国にあげることなく自分たちの自治体で行政処分の対応ができるようになりました。ということは、小さな違反でも公表されるリスクがあるということです。公表されると、信用失墜による社会的損失だけでなく、社告の掲載や製品回収などで数百万単位の費用を要してしまうことにもなります。

商品のメーカーであればパッケージの表示、飲食店等であればメニュー表示、販売店であればポップ表示、キャンペーンや福引を行う場合であれば金額など、ほとんどの事業者に該当します。
違反を出さないためにも、景品表示法を知っておくことが大切であり、それが表示の管理体制の構築の義務化(7つの管理上の措置)ということになります。

【参考】大阪府ホームページ
・過大な景品類の提供を行っていた事業者に対する措置命令について(2019年3月19日)
http://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=34188
・株式会社産業経済新聞社による一般消費者への周知徹底
http://www.pref.osaka.lg.jp/shouhi/syobun/keihyou0319.html

【研修】
景品表示法の研修を承っています。特に、飲食店に特化した景品表示法の研修では食品表示法とあわせてお伝えしています。
https://harima-coaching.or.jp/menu-hyouji

消費者法務コンサルタント 赤松 靖生
(一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事)
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投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野