赤穂健康福祉事務所管内給食施設協議会 給食施設における事故防止について~異物混入の原因と対策~(2019/6/12)【研修実施報告】

異物混入の防止についての研修は、これまで学校給食からの依頼でしたが、今回は、病院、老人施設、福祉施設、学校給食等の赤穂地域の給食施設の協議会の研修会として講師をさせていただきました。

兵庫県では災害時や食中毒発生時などの緊急時における給食の提供について連携していくための「兵庫県給食施設協議会」というのがあり、各地域ごとに協議会があります。今回は赤穂健康福祉事務所管内(=簡単にいえば赤穂周辺地域の保健所管内)の給食施設の協議会の研修会で、主に管理栄養士・調理員など100人近い参加者でした。

給食の規模としては大きな施設から小さな施設までさまざまですが、異物混入に関する対応は変わらないです。

お伝えする内容は、基本的にはこれまでの研修と同じ内容ですが、事例を増やすなどブラッシュアップしています。90分が目安となる内容です。研修タイトルが、「学校給食」から「給食施設」にかわっています。

今回の研修の内容をレポートしますが、これまでと共通する部分は省略したりしていますので、過去のレポートも参考にしてください。

過去の研修レポート

災害時対応

この協議会は、もともと阪神・淡路大震災をきっかけに設立されています。震災時に私が保健所職員として経験したことを、最初に少しお伝えしました。お伝えしたことは、行政が最初にどのような活動をしたのか。

私自身は自宅が大阪だったので職場に行けたのは2日目で、2日目の夕方から地元の医者とともに避難所を回り、3日目に自衛隊のヘリが食料を運んでくれたのでトラックで病院などに搬送し、4日目からは派遣されてきた医療の支援チームとともに管内の避難所を回った、などをお伝えしました。最初の24時間は自力で生きろ、次の24時間は近隣と協力して生きろ、次の24時間で行政の支援が始まる、と言われているそのものの実体験です。

給食施設における事故防止について~異物混入の原因と対策

内容

  1. ネット時代の食品不祥事(SNSやクレーマー)
  2. 事故の事前対策と事後対応(危機管理の考え方)
  3. 異物混入事例の検討(ワーク)
  4. どんなときに異物が混入するのか(HACCP的な考え方)
  5. 組織対応と個人対応(事故防止のためにできること)
  6. リスクコミュニケーション(100%の安全はないという前提)

目標

「組織で取り組むこと」と「個人で取り組むこと」を理解して、すぐに行動したいと感じる

1.ネット時代の食品不祥事(SNSやクレーマー)

  • 消費者が体験した異物混入事例は、SNSなどを通じて情報拡散し、社会問題に発展するようになった。
  • 給食施設での事故発生時には、後手後手の対応にならないように、迅速な対応が求められる。

ワーク

異物混入事例の経験をシェア

⇒非常に多い(お店に申し出るとは限らない)
※私が経験した事例を3つ紹介

2.事故の事前対策と事後対応(危機管理の考え方)

危機管理は2つの考え方から成り立つ

「事前対策」・・・事故が起こらないようにあらかじめ対策しておく(リスクコミュニケーション)
「事後対応」・・・事故が発生したときに原因究明・被害拡大防止・被害者対応など迅速な対応を行う(クライシスコミュニケーション)

⇒ マニュアルの作成、研修、シミュレーション訓練、多くの事例を知ること(反面教師とする)

3.異物混入事例の検討(ワーク)

  • 事故事例から学ぶことは、生きた教材である。
  • 一般の消費者としてみるだけでなく、プロの調理関係者として、「どう思うか?」「なぜ起こったか?」「自分のところで起こるか?」「起こったらどう対応するか?」を考える

【ワークのポイント】

  • 異物の混入経路を考える(原材料・環境・作業・人)
  • 組織対応が必要か、個人対応が必要か
  • 異物混入のタイミングは、給食の提供前か後か

9つの事例(ニュース動画)

【事例1】小学校の給食にプラスチック片混入
【事例2】学校給食でまた異物混入
【事例3】給食のスープに白い異物 児童3人が体調不良訴え
【事例4】学校給食に異物混入 市教委はそばアレルギーの子供に調査を開始
【事例5】給食に混入した異物は、危険なアレルゲンの「そば」と判明
【事例6】給食センターで“アカダニ” 蛇口から数匹見つかる
【事例7】盛り付けていた給食の中から金属片
【事例8】東京と神奈川の小中学校で「牛乳の味がおかしい」
【事例9】給食の牛乳に“異臭”新宿区で児童ら1300人訴える

牛乳の異物混入事例 ※知っておくことがリスク対応の一つ

  • 牛乳に関しては2本のニュース動画に追加して2本のニュース記事のあわせて4つのパターンを紹介
  • ①青草臭②産地のかたより③洗浄液の混入④タンクのサビの混入

異物混入の発見タイミングについて考える

  • 給食の提供前に「異物混入」を発見できるかどうか?
  • 紹介した事例の中でも、発見できた事例と発見できなかった事例がある。
  • 施設側の責任で異物が混入したとしても、給食の提供前に発見することができたら、危機を回避することができる。

4.どんなときに異物が混入するのか(HACCP的な考え方)

  • 異物混入の原因には、「原材料」「環境」「作業」「人」由来の混入経路がある。
  • HACCPの考え方を使って、どこで何を注意すればいいのかを整理する。
  • 「できていること」「できていないこと」「これからやれること」などを考える。

「HACCP的な考え方」

  • ミスが起きそうな場所を探す
  • どんなミスが起こりそうなのか考える
  • ミスが起こらないような方法を考える
  • その管理のために記録をする

HACCPの定義(厚生労働省HP)

【参考】『HACCP(ハサップ)』とは?
Hazard Analysis and Critical Control Point

HACCP とは、 食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/

5.組織対応と個人対応(事故防止のためにできること)

  • 異物混入の経路を整理し、組織として対応していかなければならないことか、個人個人の心がけで対応できることかを分けて、それぞれの具体的行動を考える。
  • ToDo(やるべき)リストやマニュアルの作成。予算措置。情報共有。
  • 組織でも、「教育委員会」「学校」「調理担当者」と、さまざまな段階の組織がある。
  • いきなりトップの組織に要望する前に、まず、自分たちの職場でできることを考えることが大切。
  • トライ&エラー、試行錯誤 ⇒ 成果(成功・失敗)を情報共有

6.リスクコミュニケーション(100%の安全はないという前提)

  • 事故を起こしたい人はいない。
  • しかし、どれだけ対策していても事故は起こってしまう。
  • 事故は起こるものと考えて、その起こる可能性をできるだけ低くするように対策する。
  • 過去は変えることができない【次を考える】
  • 責任感に押しつぶされない【メンタルサポート】

「異物混入の原因と対策」について、学校給食での調理関係者対象の研修会、給食施設・食品メーカー等での研修をご希望の場合はお問い合わせフォームまたは電話等によりご連絡ください。


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