特定商取引法の通信販売に該当する場合の義務表示
特定商取引法の通信販売に該当する場合は、ホームページは通信販売広告となり、法に基づき「名前・住所・電話番号」を記載することとなっています(もちろん、そのほかの表示事項もあります)。
私のセミナーでも、必ず覚えてほしい通信販売の3原則でもっとも力を入れているところです。
通信販売の3原則
- 通信販売の定義
・すべての商品と役務(サービス)が対象
・通信手段で申し込みを受ける場合 - クーリングオフの対象外
- 名前と住所と電話番号は必ず表示
- こちらの記事もご覧ください
「自宅サロン」や「自宅教室」のブログやホームページに名前や住所を出したほうがいいの?
名前について
フルネームを出したくない。身分がばれてしまう。上の名前だけでいいのでは?
と思うかもしれませんが、個人事業主は「戸籍上の氏名」を表示することになっています。
住所について
個人事業主の場合は、「現に活動している住所」を表示することになり、自宅を拠点にしている場合は、自宅の住所を表示することになります。そして、表示する場合は、住所の途中までではなく、最後まで、すなわち、部屋番号まで表示することとなります。
自宅の住所を出したくない。旦那に住所を出すことを渋られた。いたずらが怖い。近所に知られるのが嫌だ。女性の場合はストーカー的な被害も怖いと思うかもしれません。しかし、それとは別の話です。事業者としての責務になります。
自宅の住所を出したくない場合は、個人事業主でも、オフィスを借りて、そこの住所を使うという選択肢もあると思います(問題はいろいろありますが)。
バーチャルオフィスについて
- バーチャルオフィスも活動実態があれば特定商取引法の住所として表示可能となりました(平成28年度版の特定商取引法の逐条解説で追加)
⇒特定商取引法の住所としてバーチャルオフィスも表記可能になりました
電話番号について
自宅の電話を出したくない、メールだけの問い合わせ受付にしたい、携帯電話にしたい、などあると思います。
法律の解説では、「電話番号については、確実に連絡を取れる番号を記載する」ことになっています。
携帯電話番号はOKですが、メールだけというのはダメですね。
自宅の電話番号を出したくない場合は、光回線のセカンド電話を使うという方法もあります。
事業者としての自覚が必要
いずれも、個人事業主の場合、自宅を活動拠点としていることが多いので、自宅の住所や電話番号を出したくないと思うことが多いと思います。そんなに利益は出てなくて趣味程度の小遣い程度なので、いらないのではないかと思いがちです。
しかし、個人事業主といっても、大企業と同じ「事業者」です。消費者にとっては、大も小もありません。また、法律の対象としても同じ扱いです。利益が出ていようが出てまいが、同じ事業者です。
このような表示が課せられるのは、「消費者とのトラブル」を防止するためです。
また、「取引を公正なものにする」という目的もあります。
きちんと表示していない事業者から購入したいと思うでしょうか?また、購入してもらったとしても本当に商品が送られてくるのか、サービスが受けれるのか、詐欺ではないかなど、消費者は不安がいっぱいです。
トラブルがあったときに、法律違反があれば行政は味方してくれません。きちんと守っていれば行政は味方してくれます。
個人事業主であっても、事業者であるという自覚を持つことが大切です
表示の省略
サイトに掲載している情報は「通信販売広告」となり、これまで紹介してきた事業者の属性情報やその他必要な事項を表示する必要があります。
ただし、通信販売広告の場合、小さいチラシや新聞広告など、スペースが限られていることもあり、すべてを表示できないこともあります。
その場合、ある要件を満たすと、表示を省略することができる項目があります。
その中に、氏名・住所・電話番号が含まれています。
表示の省略要件とは
「請求により詳しい販売条件を記載した書面(又は電子メール等の電磁的記録)を送付する」ことを表示した場合に省略できるとなっています。これは、買ってくれる人だけでなく、買わなくて問い合わせをしてきた人にも送付することになります。しかも、口頭ではなく、書面もしくは電子メールで、すべての表示事項を明記することになります。また、書面送付が有料である場合は、その価格も表示することとなっています。
その場合は分かりやすい場所に、できるだけ具体的(どの項目が省略されているかなど)に表示することが望ましいです。
『詳しい事業者情報や販売条件等はお申しでいただきましたら、メールで送付します』
と分かりやすい場所に記載すれば、理屈上は住所が省略できることになります。
ただし、原則は表示することであり、ホームページではスペースにも余裕があります。
実務的には、現実的ではないですね。
このような省略表示を使ってまで事業者情報を載せないという考え方は、事業者として、これでいいのかということです。
この省略は事業者情報よりも商品の詳細についての留意事項が小さい広告スペースでは表示しきれないときなどに使われるのが正しいと思います。
ただ、どうしても出したくない場合は、省略表示をして、先に示した文言のように、省略事項はメールで送信しますということを分かりやすく表示するというのが、とりあえず、セーフというぎりぎりのところでしょうね。
違反した場合は
個人事業主で、住所や電話番号を表示していないサイトは多くあります。省略表示で出していないという表示もないので、単なる無知からくるものだと思います。
それでは、適正に表示されていなかったらどうなるのでしょうか?
特定商取引法から関連部分を抜粋します
特定商取引に関する法律
(業務の停止等)
第15条(一部抜粋)
主務大臣は、販売業者若しくは役務提供事業者が規定に違反した場合において通信販売に係る取引の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同項の規定による指示に従わないときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、二年以内の期間を限り、通信販売に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。
3 主務大臣は、第一項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。
悪質な場合は業務停止処分がされ、事業者名が公表されます。
まあ、現実に、住所や電話番号が表示されていなかったというだけで処分されることはなく、消費者が何らかの被害を受けたときに適用されるのが実情です。しかし、処分対象の違反には該当しています。
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投稿者プロフィール
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◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野
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