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米動画配信、無料期間の終了通知せず料金を徴収「YOMIURI ONLINE」より引用

米動画配信、無料期間の終了通知せず料金を徴収
2015年10月08日 18時49分

9月1日に日本でサービスを始めた米動画配信大手ネットフリックスは、一部の利用者に対し、1か月の無料体験期間が終わることを通知しないまま、翌月分の料金を徴収していたことを明らかにした。

解約を希望する人には返金に応じる。

インターネット上で無料体験の申し込みを受ける際、同社は無料体験期間が終了する3日前にメールで通知すると説明していた。無料体験期間が終わるまでに解約しないと、クレジットで料金を自動的に徴収する仕組みとなっている。

同社によると、システムトラブルで、通知メールの一部が送信されなかったという。ネットフリックスの料金は月額650~1450円(税抜き)。
2015年10月08日 18時49分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20151008-OYT1T50096.html(リンク切れ・掲載終了)

 

お試し期間後に自動入会はフリーミアム商法

有料会員制のビジネスは継続的な収益を上げることができるので、ビジネスモデルとして優れています。

しかし、最初の入会するというハードルが高くなります。

そこで、最初にお試し期間を設けて、気にいったら入会してもらうという手法がとられています。

これをフリーミアム商法といいます。

登録方法が2種類

登録方法は2種類あります。

  1. メルアドなど最小限の入力で、純粋なお試し期間だけの入会
  2. クレジット番号等を入力して、実は正式入会してて、最初の1ヶ月が無料となるもの

1のほうは放置していても何らかの負担は必要ないので問題はないですが、2のほうが問題になります。
無料期間中に解約すれば費用負担がないので、無料期間中に解約すればいいと思うのでしょうが、解約を忘れてしまうのですね。携帯電話のオプションと同じです。解約忘れを狙っているとしか思えない場合もあります。また、有料の契約をしたという自覚がないことも多いです。

さらに、月額料金が引き落とされるのに気づかず、数ヶ月経過して気づいてトラブルになることがあります。

そうしたトラブルが全国の消費者センターに持ち込まれ、消費者庁としても、このフリーミアムについて通知を出しています。

消費者庁HP
インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項[PDF:519KB]

トラブル防止のためには「有料である」告知と確認措置を

お試し入会のときに「解約の連絡がなければ自動的に課金される」という仕組みを規約に書いて同意していたら、「お試し期間の終了と解約しなければ課金される」という連絡は必ずしも義務ではありません。

黙っていたら解約を忘れて、事業者は儲かるわけですね。
事業者の姿勢も問われますが、無料期間が終了して、課金されるときの方法が業者によって異なります。

  1. 有料期間になる直前に、初めて、クレジットカードなどの支払情報を登録する
  2. 有料期間になる直前に、確認メールを送る。解約しなければ自動的に課金される。
  3. 何の予告もなく、有料期間に突入する。

日本では「3」のパターンが多いです。

そういう視点からすれば、今回ニュースになったネットフリックスは予告メールを出しているので良心的ですね。規約には書いてませんが、ヘルプに掲載しているので、一種のサービスに近いです。

ネットフリックス
https://www.netflix.com/jp/

Netflix 利用規約より抜粋
https://www.netflix.com/TermsOfUse

無料体験

お 客様のNetflixメンバーシップは無料体験で始まることがあります。 お客様のメンバーシップの無料体験期間は1ヵ月、または会員登録時に定められたその他の期間で、新規メンバーおよび一部の旧メンバーにサービスをお試しい ただくためのものです。 無料体験の利用の可否は、会員登録手続時にお客様にお知らせします。
無料体験期間の終了よりも前にメンバーシップの解約を行う場合を除き、無料体験期間終了時にお客様の「お支払い方法」に月額メンバーシップ料金をご請求し ます。 月額メンバーシップ料金および無料体験期間の終了日を確認するには、当社ウェブサイトの「アカウント情報」ページから、「お支払に関する詳細」リンクをク リックしてください。 有料のメンバーシップが開始したことについてのお知らせは行いません。

 

ヘルプセンター 無料体験について
https://help.netflix.com/ja/node/16282

無料体験について

Netflixでは新規のお客様に1ヵ月無料体験を提供しています。 トライアルプランに登録すればすぐに映画やドラマのNetflixカタログすべてにアクセスできます。

始めるにはNetflix.comにアクセスするだけです。 お名前とメールアドレスを入力し、パスワードとプラン、お好きなお支払い方法をお選びいただけば、早速映画やドラマをお楽しみいただけます。

無料体験中は課金は発生せず、いつでもキャンセル可能です。 また、キャンセルされたいお客様のため、無料体験期間が期限に近づくとこちらから通知をお送りします。 無料体験後もプランを継続される場合は、低い月額料金で映画やドラマが見放題となります。

この予告メールがシステムトラブルで送信できなかったために、無料期間中に解約できず、課金された契約者に対して、希望すれば解約に応じて返金する、という対応はきちんとした誠意ある正しい対応です。

人数を公表していないとのことですが、解約忘れが相当いるのではないでしょうか。

そう考えると、「3.何の予告もなく、有料期間に突入する。」という手法は、消費者にとっては好ましくありませんが、反面、ビジネスとしては事業者にはメリットが大きいですね。

この手法は消費者にとってはある種の悪質商法的なやり方に思えるのですが、法的な規制はありません。消費者にとっても、課金前にサービスの内容を無料で体験できるのでめるっとはあります。

一方、何でもかんでも消費者を保護するというのではなく、契約したからには契約内容をしっかり理解して、責任を持ちなさいという視点もあります。

ただし、仕組みが分かりにくければ、錯誤(間違い・勘違い)を主張できることもあります。

この手法が社会問題になったら、新たな規制がされるかもしれませんが、携帯電話のオプション以外は、今のところは社会問題ほどにはなっておらず、個別案件という感じですね。

同じような商品・サービス

ウイルス対策ソフトの1年毎の更新

予告メールが来るけども気が付かないというパターンです。また、自動継続になっていることに気づいていない場合もあります。課金に気づいてすぐに事業者に相談したら対応してくれる場合があります。金額的にも、「まあいいか」とはならない金額なのでトラブルになります。

リアルプレイヤーなどのフリーバージョンと有料バージョンの申し込み間違い

リアルプレイヤーなどは無料で使えるフリーツールとして有名ですが、実はグレードの高い有料バージョンもあります。この有料バージョンを売るための無料版ですので、商売が成り立っているのです。で、何も考えずに申し込むと、実は有料バージョンだったということがあります。無料版のダウンロードリンクがわかりにくく表示されていたりします。
有料バージョンは正式購入の初月無料というパターンです。何も考えずクレジット番号を入力して2ヵ月後に請求が来て、トラブルになります。

携帯電話のオプション

最も身近なですね。解約忘れを狙ってるとしかいいようがありませんし、実際に解約忘れは多いです。私も忘れたことがあります。窓口でグチをこぼしていたときに聞くと、請求書が送付されないようになったので、気が付かず支払っている人も多く、1年経過して解約しに来る人もいるそうです。仕組みが複雑ですから。

以上のようなトラブルは、リアルに消費者センターでも良くあります。困ったら、お住まいの消費者センターに相談してくださいね。

【上級者編】お試し期間の仕組みが有料の契約だと気づかずに入会することが錯誤無効にあたるのか?

ちょっと一歩進んだ話をします。
民法では重大な過失がなければ、錯誤(勘違いや過失)で契約した場合は無効とすることができます。
ネット通販での重大な過失とは何かというのが別の法律で定められています。
それは、通称、電子消費者契約法です。契約の最終確認画面を経由して申し込みをしたのなら、錯誤無効とはなりません。
ただし、最終確認画面が分かりにくく、規約も見にくい場合があるなど、消費者が契約内容を十分認識できない場合もあり、錯誤を主張できる余地はあります。

まとめ

フリーミアム商法は、消費者にとっても、事業者にとっても、メリットのある制度ですが、消費者がその仕組みを十分に認識しているとはいえないことが多いので、トラブルを防ぐためにも、コンプライアンスへの意識が高い事業者はわかりやすい表示をしてほしいですね。。また、解約忘れへの事前・事後の対応も柔軟にすることで消費者からの信頼の獲得にも貢献します。

投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野