WEB制作者が知っておきたい二重価格表示(景品表示法) 【関西フロントエンドUG】Webデザイン・Web制作に関する勉強会 #5(2019年4月16日)報告

【関西フロントエンドUG】Webデザイン・Web制作に関する勉強会 #5に登壇しました

この勉強会ではWEB制作者向けの消費者対応の法律について登壇させていただいています。シリーズのようになりました。WEB業界に私の専門分野が興味を持ってもらえるかということを知りたいというマーケティングも兼ねています。

WEB制作者がホームページなどのウェブサイトを制作するときに、デザインや表示が知らずに法律違反になっていることがあるかもしれないので、気にしてほしいポイントをお伝えしています。

早くに申し込んでいたのですが、パワポ資料ができたのは当日の朝という、いつもぎりぎりでやっています。

前回は登壇者が多く時間を短くしてほしいと直前に言われて慌てることになったので、今回は15分程度の内容としました。
ただ、YOUTUBE動画の埋め込みをしたので、うまく動いてくれるかという不安もありましたが、まあ何とかなりました。

当日の出番は5番目でした。実は3番目に著作権の話を弁護士さんがされたので、2本目の法律系の話になり、若者にはきつかったかもしれませんし、私の時には疲れて集中力もなくなってたかも。

ちなみに、前回と前々回のレポートは最下段にリンク先を紹介しています。

スライドシェアで公開

紙の資料は配布せず、あとからスライドを公開するというWEB業界のセミナーの習慣にならって、スライドシェアに公開しました。

法律関係のセミナーの資料はあまり公開していないのですが、WEB関係者のセミナーに登壇する機会が増えたので結構公開しています。
この勉強会は法律の解説シリーズで、別の交流会のCSBBOはCS対応のスキルについてのシリーズです。

セッション登壇内容の概要

新しい参加者もおられるので、これまでの2回の登壇の経緯をお話しして、消費者法務という分野を紹介しました。

前々回は消費者法務の全体像を、前回は特定商取引法の通信販売についてお伝えしましたが、今回は景品表示法の二重価格表示をテーマにしました。二重価格表示の違反は景品表示法の不当表示の有利誤認表示にあたります。

本日の目標と気づき

ついついやってしまいがちな二重価格表示が、実は法律違反になっているかもしれないことを知ってほしい。

まず、二重価格表示とは左にスライドにもあるように、もとの比較参照価格を打ち消して現在の価格を表示するというチラシやお店、ネットでもよく見かける表示です。

二重価格表示自体は、禁止されているわけではなく、事業者間の競争を促す有効な販促手段になっています。

ただし、本当にお得になっているのか、ウソがないのか、もとの価格で本当に売られていたのか、など、不当な方法で二重価格表示すると、消費者が合理的に選択できなくなるということで、景品表示法で規制されています。

景品表示法とは

景品表示法がどんな法律かということを簡単に説明しました。

景品表示法の正式名称は「不当景品類及び不当表示防止法」で、「過大な景品類の提供の禁止」と「不当な表示の禁止」の2本立てとなっています。

「過大な景品類の提供の禁止」は、「懸賞」や「おまけ」 についての規制で、「不当な表示の禁止」は①優良誤認②有利誤認③おとり広告など6指定表示が対象となっています。

①優良誤認表示は、 商品・サービスの品質、規格などの内容についての不当表示で、②有利誤認表示は、商品・サービスの価格などの取引条件についての不当表示となります。

今回お話しする「有利誤認表示」をもう少し詳しく説明すると、「商品・サービスの取引条件について、実際のものよりも取引の相手側に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」と「商品・サービスの取引条件について、競争事業者に係るものよりも取引の相手側に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」となります。後者は、家電量販店でよくある「〇〇電機の価格に対抗した価格」というようなものです。

実際に「有利誤認表示」で消費者庁から措置命令を受けた事例(ニュース映像・消費者庁公表資料)を紹介

アマゾンに措置命令(2017年12月27日)

【ANNnewsCH】Amazonに消費者庁が措置命令 参考価格を高く表示(17/12/27)(https://www.youtube.com/watch?v=Miy-Uxhze3Q

イエローハットに措置命令(2017年12月1日)

【ANNnewsCH】通常価格を“不当表示” イエローハットに措置命令(17/12/01)(https://www.youtube.com/watch?v=c_qgX9ZJrSk

ジャパネットたかたに措置命令(2018年10月18日)

弁護士法人アディーレ法律事務所に措置命令(2016年2月16日)

二重価格表示の考え方のポイント

二重価格表示の比較対象価格となるもの

  1. 過去の販売価格
  2. 将来の販売価格
  3. タイムサービス
  4. 希望小売価格
  5. 競争事業者の販売価格
  6. 他の顧客向けの販売価格

1.過去の販売価格を比較対照

最近相当期間にわたって販売されていた価格を比較対照価格とすること

  • 最近時(8週間)に販売期間の過半を占めている
  • 通算して2週間未満はダメ
  • 最後の日から2週間以上経過してたらダメ

景品表示法の参考書籍です(緑本です)※上記の細かい運用や解釈が解説されています

景品表示法の対象は消費者契約

不当景品類及び不当表示防止法
(目的)
第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

事業者間契約は景品表示法の規制対象外です

条文にもあるように景品表示法の対象となるのは、消費者です。近年、事業者対象の「高額塾」「セミナー」「教材」 等で、よく見かける二重価格表示ですが、景品表示法は消費者法ですので、BtoCが対象で、事業者間取引であるBtoBは対象外です。民法や不正競争防止法などのほかの法律で対応するしかないのです。被害者やトラブルが潜在的に多いと思いますが、なかなか表には出てこないですね。支払額が高額になりがちなので気を付けたいところです。

個人経営者は法律が苦手なことが多いので、知らずに問題のある二重価格表示をしていることがあります

個人経営者などのスモールビジネスでは、景品表示法の規制対象となる消費者対象の価格表示で、不当な二重価格にしていることもあるのではないでしょうか。措置命令など大きく公表されるのは大企業が多いですが、公表されない行政指導も非常に多いと思います。私も、非公表の表示違反案件をサポートして、調査や行政への報告書を作成したことがあります。リスクを抱えていると、お客さまからの苦情だけでなく、ライバル事業者からの行政への通報などで経営ダメージを受けることがありますので、きちんと知っていてほしいです。景品表示法は消費者法の中でも非常に厳しい法律で、法人・個人に限らず、どんどん行政指導されます。違反通報フォームがあるので、見ず知らずの第三者からの通報もありますので気を付けてください。

また、今回の勉強会の参加者であるWEB制作者のみなさまは、クライアントからのデザイン案に対して、法律違反の可能性についてアドバイスできるようになれば付加価値になるのではないでしょうか。逆に、法律違反をしているホームページやチラシをデザイン・ 制作・納品していた場合は経営リスクの一つにもなります。

まとめ

  • 二重価格表示は景品表示法で規制
  • 景品表示法は消費者と事業者との取引が対象
  • 過去の販売価格と比較する場合には「最近相当販売価格」が対象
  • 販売ページやチラシのデザインを請け負った場合の顧客への内容確認

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