私のホームページへの検索キーワードの中に、「BASE 住所」「BASE 住所 公開」「BASE 電話番号」BASE 特定商取引法」「BASE 個人事業主」などによる訪問があります。

私もBASEのセミナーに行ったこともあり、商品だけでなくサービスの提供できることが非常に魅力を感じました。

セミナーでは、最初に「特定商取引法に基づく表記の記入」についての解説も少しありました。現実には、BASEに限らず、個人事業主が運営しているネットショップで「特定商取引法に基づく表記」がきちんとできておらず、法律違反状態になっていることが少なくありません。

BASEは主に商品をネットで販売するので、通信販売であると認識できますが、商品だけでなく「サービス」の提供も実は通信販売の対象となるのです。

消費者法務の専門家として、個人事業主などの小規模事業者を対象に、WEBビジネスについてのセミナーもしていますが、BASEに興味や悩みを持って訪問された方のために、簡単に解説したいと思います。

個人事業主が住所表記をしたくないという悩みをよく聞きます。自宅以外の活動拠点があれば、そこを表記することができますので、シェアオフィス等を借りることも一つの手段です。また、バーチャルオフィスはこれまでは住所として表記できないとされていましたが、平成30年6月発行の特定商取引法の逐条解説において解釈が変更され、「現に活動している住所といえる限り」表記できるようになりました。詳しくは後述しています。

BASEでのショップ開設に必要な3つの手続き(平成29年4月現在の作成です)

BASEに登録すると、こんなメールが送られてきます。
1つ目と3つ目は分かるとして、2つ目の「特定商取引法に基づく表記の記入」については法律的な話になりますので注意が必要です。

《事務お手続きについて》
ショップ開設には下記3つの簡単なお手続きが必要です。

・メールアドレス認証
・特定商取引法に基づく表記の記入
・BASEかんたん決済申請

BASEでの「特定商取引法に基づく表記の記入」

↓こんな入力用の画面が表示されますよね。

入力画面に必要事項を記入すればいいだけのことですが、「住所を書いたら公開されるのかな?」「じゃあ、住所を途中までにしたら個人情報が守られるかな?」と思うことがあるかもしれません。

よく見ると、「事業者の所在地」の欄には「建物名まで記入してください」と薄い字で書いてあります。しかし、それが何を意味するのか?もしくは気付いてない人もいるかもしれません。

本来は、「特定商取引法に基づく表記」に記入するという結論から考えるのではなく、「事業者と消費者の違い⇒事業者が守るべき法律⇒特定商取引法の通信販売とは⇒特定商取引法に基づく表示とは」という流れで考えてほしいなあと思います。すると、先ほどの疑問の答えが出るのです。学ぶのが大変ですけどね。

特定商取引法は悪質業者を規制する法律

特定商取引法はトラブルの多い取引形態について悪質な事業者から消費者を守ろうという法律です。

7つの取引類型があります。

「訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売、訪問購入」

ひと目で悪質商法の巣窟だと分かると思いますが、この中に「通信販売」が含まれていることを知っててほしいのです。

通信販売はトラブルの多い取引です。したがって、法律違反に対しても社会の目は厳しく向けられます。

まとめ

  • 「特定商取引法に基づく表記」は法律で義務付けられています。
  • 個人事業主の場合は、「(戸籍上の)氏名」「住所(番地など最後まで)」「電話番号」は必須表示に含まれています。
  • そのほかにも「送料」「返品特約」「瑕疵担保責任」などの記入事項があります。
  • もし、間違った表記をしていても誰も指摘してくれないので違反状態のまま営業することになります。
  • 「特定商取引法に基づく表記」以外にも、「個人情報の利用目的の通知」や「プライバシーポリシー」などの個人情報保護法にも対応しなければなりません。

個人情報を知られたくない

消費者を対象に事業をしているのに、事業者自身の個人情報を出したくないというのは矛盾する話ですね。

消費者と事業者の立場の違いを理解していない証拠です。

しかし、自宅の住所や電話番号を出したくないという気持ちも分かります。

法律上は省略表示が可能ですが、現実的ではありません(いかにも抜け道的な解説をしている方もおられますが、法律を正しく理解していない場合がほとんどです)。

住所

  • 住所は「現に活動している住所」となっていますので、基本的には自宅ですが、オフィスを借りて、そこで仕事をするなら、そのオフィスを住所にすることができます。
    また、住所を最後まで書かずに「~県~~市~町」としている場合が多いですが、正しくない表示例です。。
  • これまでは、バーチャルオフィス(=郵便ポストだけの住所貸し)は活動している場所とはいえないとされていました。⇒(平成30年6月公表「特定商取引法」逐条解説)バーチャルオフィスでも現に活動しているのであれば、住所として表記できるように解釈が変わりました(下記引用参照)。※形式で判断するのではなく、実態で判断するということだと思います。
  • 今は、住所をビジネス用の住所として使用できるシェアオフィスがあり、その中でもコワーキングのフリースペース会員だと月額1万円程度で借りることができます。
  • なお、法人は通常、登記上の所在地となります。

電話番号

  • 電話番号を自宅で使用している番号にしたくなければ「携帯電話」でもいいと思いますが、固定電話でなければ信頼性の問題があるかもしれません。
  • 私は光回線の2本目の電話回線を契約して使っています。格安の追加料金で持つことができます。
  • 「確実に連絡が取れる番号」となっていますが、24時間対応というわけではなく、常識的な営業時間の範囲でと考えてください。

名前

  • 名前をビジネスネームやニックネームにする人もいますが、法律上は本名になりますので、それらを使っていたとしても、特定商取引法の表記欄にはきちんと書いてください。
  • 法人の場合は法人の名称および代表者または通販責任者の氏名となっています。
逐条解説より引用

「氏名又は名称」については、個人事業者の場合は戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号を、法人にあっては、登記簿上の名称を記載することを要し、通称や屋号、サイト名は認められない。「住所」については、法人にあっては、現に活動している住所(通常は登記簿上の住所と同じと思われる)を、個人事業者にあっては、現に活動している住所をそれぞれ正確に記述する必要がある。いわゆるレンタルオフィスやバーチャルオフィスであっても、現に活動している住所といえる限り、法の要請を満たすと考えられる。
また、「電話番号」については、確実に連絡が取れる番号を記載することを要する。発信専用の番号で消費者側から架電しても一切つながらない等のような場合は、確実に連絡が取れる番号とはいえない。

(引用)
消費者庁・特定商取引法ガイド
http://www.no-trouble.go.jp/law/h28.html
特定商取引に関する法律・解説(平成28年版)《2018年6月29日発行》
特定商取引に関する法律の解説(逐条解説)
第2章 訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売
第3節 通信販売
http://www.no-trouble.go.jp/pdf/20180625ac04.pdf
83ページ参照

違反したらどうなるのか

  • 「他の人も違反してるのだから」という方もいます。表示をきちんとしていないことは法律違反ですが、それで行政処分や罰則が適用されることは通常ないのではと思います。ただし、苦情が入ったら、注意されますし、告発があれば行政も動かざるをえません。
  • 「見つからなかったらいい」という考えではなく、信頼されるために、また揚げ足を取られないためにも、法律はきちんと守りましょう。
  • 同業他社のライバルがでぐすねひいて待ってます。クレーマもやっかいです。
今回お話したことが、社会問題になっている「コンプライアンス(法令遵守)」ということです。

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無料で登録できるので、私はとりあえず作ってみました。

おすすめレンタルサーバーとドメインサービスを紹介

ホームページ制作(私が使っている「おすすめ」レンタルサーバーとドメインサービスの紹介)

【参考】

セミナー実施報告

Katanaオフィス大阪谷町 『消費者法入門セミナー』(2014/12/18)【実施報告】 ⇒ こちら

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表示に関する詳しい解説

「自宅サロン」や「自宅教室」のブログやホームページに名前や住所を出したほうがいいの?

質問回答

サロンを経営する個人事業主から「名前、住所、電話番号をホームページに表記したくない」等の質問がありましたのでお答えします

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投稿者プロフィール

消費者法務コンサルタント 赤松靖生
消費者法務コンサルタント 赤松靖生
◆神戸大学農学部畜産学科(昭和61年4月入学)・神戸大学大学院農学研究科(平成4年3月修了)
◆神戸市役所(平成4年4月入庁、平成26年3月退職)
「平成4~13年 保健所等での衛生監視業務(食品衛生・環境衛生・感染症対策)」
「平成14~24年 消費生活センター 技術職員(商品テスト・相談対応支援・事業者指導)」
◆一般社団法人はりまコーチング協会(平成26年4月設立、代表理事就任)
◆食品分野のダブルの専門家としてサポートします
元保健所食品衛生監視員として「食品表示法」をはじめとした食品衛生
元消費生活センター職員として「景品表示法」をはじめとした消費者法務
◆食品関連企業・商工会・給食施設等で研修実績あり(口コミ紹介が多い)
◆WEB情報発信の専門家(ITコーディネーター)
ワードプレスによるホームページ制作支援・WEB情報発信支援
WEB情報発信セミナーなどWEB関係は趣味から発展した専門分野